「タムロン鉄道風景Instagramコンテスト 2019」結果発表

鉄道写真の楽しさを広げる活動の一環として、今年初開催となりましたInstagram限定のハッシュタグフォトコンテスト「タムロン鉄道風景Instagramコンテスト 2019」の審査結果を発表いたします。
鉄道写真家の杉山 慧(すぎやま さとる)氏を審査員にお迎えし、応募総点数(「#タム鉄フォトコン」のタグを付けて投稿された数) 9,737点の中から大賞1名、準大賞3名、入選15名、タムロン賞1名の全入賞作品20点をご覧ください。
総評

杉山 慧 Satoru Sugiyama
1992年静岡県生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、ネコ・パブリッシング「レイル・マガジン」編集部で、編集経験を積んだのち、鉄道写真事務所レイルマンフォトオフィスに入社。同社を2018年に独立した後は、編集・カメラマン経験を活かし、写真撮影のみならず文章の執筆も一手に引き受ける「二刀流カメラマン」として活躍中。
今回初めて開催された「タムロン鉄道風景Instagramコンテスト 2019」。プリントによる従来の応募方法ではなく、写真共有アプリ「Instagram」で投稿するフォトコンテストです。作品には「#タム鉄フォトコン」というハッシュタグがついているため、リアルタイムで投稿の状況を誰でも見ることができ、個々の作品にコメントやいいね!といったリアクションを起こせることが斬新で、投稿が投稿を呼ぶことになり、最終的に「#タム鉄フォトコン」で投稿された作品点数は9,737点にものぼりました。私たちの予想を大きく上回る数にまで達し、大変嬉しく思っています。
近年はSNS、とりわけInstagramの普及により、顔見知りの範囲のみならず、誰でも自分の写真を世界中にすぐに発信できるようになりました。公共性が高く身近な乗り物である鉄道の写真は誰にでも「インスタ映え」の瞬間を撮れるチャンスがあります。スマートフォンによる優れた作品もたくさん応募があったことは、鉄道写真がより多くの人に受け入れられるようになったことの表れでしょう。今回は、そうしたインスタ映えの瞬間を捉えた作品のなかから、ストーリーを感じられるものや、色彩の美しいものを選びました。
ぜひ次回も、今回以上の盛り上がりが見られることを期待しております。
当選作品のご紹介
大賞
PHOTO:柳田 遼太 @ryota.y222
子供の表情や声といった、はしゃぐ様子がストレートに伝わってきました。これは鉄道博物館で展示されている400系ですが、大胆に車両下部のみを切り取ったことで、子供の視点で見た新幹線の大きさや憧れが上手に表現できています。絶妙なシャッタースピードで子供をブラしたことで、これから成長していく子供の「動」、役目を終えて彼らを見守る新幹線の「静」という対比を作り出しています。モノクロにしたことで情報量を減らし、簡潔にまとめることにも成功しています。さて、400系新幹線が引退したのは平成22年ですが、現役当時を知る大人も、知らない子供も、令和の時代にこうして実物を見ることができます。ずっと大切に保存していくことの大切さを、決して説明的にならずに教えてくれる1枚です。
準大賞
PHOTO:小林 虹輝 @canon_k.k
E2系新幹線が陸送される、とても珍しい場面です。水面に綺麗に反射している光景を見たとき、作者の方も驚いたのではないでしょうか。そうした心境で、このように落ち着いて構図を決めてシャッターを切ることは、なかなか真似できることではありません。黒い背景に派手な色のトレーラーヘッドと白いボディのE2系が見事に浮かび上がり、停まっていることに力強さを感じます。水鏡を利用した作品は度々見られますが、この作品ではE2系が歩んできた今までの世界と、これから迎える世界の2つを表していると捉えることもでき、意味のある作品に仕上げています。
PHOTO:久保 嘉輝 @valkyrie_r_ky
まさに「インスタ映え」の領域を越えている作品です。これは鳥取県を走っていた倉吉線の廃線です。廃線跡を捉えた作品は他にも多くの方が応募されましたが、この作品の面白いところは、手前に今にも線路に被さりそうな太い木を配し、線路が続く奥行きを作ることで列車が走っていた当時を想像させておきながら、奥にある線路の中央に生えた細い木が視線を遮り、ここが廃線であるという現実を強烈に突きつけていることです。手前から奥に向かって暗→明→暗→明と明るさが交互に変わっていることも奥行きのある絵作りに役立っています。
PHOTO:@shogokamiyama
「被写体全てが役者だな」と見た瞬間に思いました。まず目が行く左手前の二人は下を向いて歩いていながら、後ろの人物が傘をさしていることで、激しい雨が降っていることがわかります。車掌さんが車内の灯りにうかびあがり、指で何かを確認していることから、じきに発車することが伺えます。私たちが雨の駅を想像した際に、思い浮かべるシーンを形にしたと言えますが、写真にするのは容易ではなく、その瞬間まで長時間待つ忍耐力か、すぐにそうした瞬間を呼び寄せる強運がなければ成り立ちません。調和の取れた構図や夜間の難しい露出あわせといった技術力も備わっていると言えます。
タムロン賞
PHOTO:@tojoe_spiritual
新橋駅にあるステンドグラスと人の後ろ姿を捉えた、鮮やかな作品です。日本で初めて鉄道が走り始めた新橋は鉄道の聖地で、現代では日本有数のオフィス街になりました。明治時代、近代化に貢献した1号蒸気機関車と、現代の日本を支えるサラリーマンの向き合う構図が、お互いの持つ使命を称えているように感じ取れます。作者の方はきっと、絵になる背格好の人が絶妙な位置を通るまで、粘り強く待ったのでしょう。タムロンレンズのもつ強みである、周辺部まで明るくムラのない描写や自然なボケ味も作品の美しさに貢献しています。
入選
PHOTO:山口 智紀 @yamaguchi_2
PHOTO:@shonan80
PHOTO:@take.nagasaki
PHOTO:@kissxalpha
PHOTO:内堀 徹 @uchibori_bd5b
PHOTO:松倉 毅 @tsuyoshimatsukura
PHOTO:落合 拓巳 @ichiao489
PHOTO:松田 聡 @sai56y7205
PHOTO:小林 俊明 @nobeyamatoshiaki
PHOTO:山口 直幸 @totoronronn
PHOTO:谷野 竜佑 @tansan_4609
PHOTO:岩片 浩一 @iwashi_tairyou
PHOTO:@haomingjinye
PHOTO:山本 高弘 @go_taka_810
PHOTO:@1105_azarea
尚、「タムロン鉄道風景Instagramコンテスト」にご応募された作品は、本コンテストの入賞作品であるかどうかを問わず、「第12回 タムロン鉄道風景コンテスト」にご応募いただけます。
作品をプリントしていただき、是非「第12回 タムロン鉄道風景コンテスト」にご応募ください!
締め切りは8月23日(金)※当日消印有効
応募についての詳細は下記の特設サイトをご覧ください。
皆様のご応募、お待ちしております。
第12回 タムロン鉄道風景コンテスト 私の好きな鉄道風景ベストショット
鉄道のまち大宮に本社を置く企業として、地域の活性化と鉄道文化の振興に貢献することを目的として、開催するフォトコンテスト、第12回 タムロン鉄道風景コンテスト 私の好きな鉄道風景ベストショット」開催中!
第12回鉄道風景コンテスト連載企画
【第12回 タムロン鉄道風景コンテスト特別企画 Vol.1】鉄道写真家 広田 尚敬氏が指南する鉄道写真の極意「熱心に撮る」
第1回目から「タムロン 鉄道風景コンテスト 私の好きな鉄道風景ベストショット」の審査をしていただいている、鉄道写真家の先駆者、広田尚敬氏に鉄道写真撮影のこだわりについて語っていただきました。
【第12回 タムロン鉄道風景コンテスト特別企画 Vol.2】フォトライター矢野直美氏が伝授する「鉄道旅写真を楽しむヒント」
「タムロン鉄道風景コンテスト 私の好きな鉄道風景ベストショット」の第1回目から、審査員として参加して頂いている、「元祖・鉄子」の愛称で親しまれている、鉄道フォトライター 矢野直美氏に鉄道旅写真を楽しむヒントを伝授していただきました。
タムロン鉄道風景コンテスト過去の受賞作品
第11回タムロン鉄道風景コンテスト審査結果発表と入賞作品のご紹介
地域の活性化と鉄道文化の振興に貢献することを目的とした「第11回タムロン鉄道風景コンテスト」の入賞者が決定し、入賞作品の一部をご紹介します。
タムロン鉄道風景コンテスト 過去の作品紹介 Vol.1 鉄道写真の王道「車輌」
タムロン 鉄道風景コンテストの過去の入賞作品の中から、鉄道写真の王道「車輌」を被写体とした作品をご紹介。また、今年もタムロン鉄道風景コンテストの応募がスタートしております。
タムロン鉄道風景コンテスト 過去の作品紹介 Vol.2 美しい風景と鉄道車両が一体となる「鉄道風景」
タムロン 鉄道風景コンテストの過去の入賞作品の中から、桜や紅葉、夕景や夜景を背景に撮影された鉄道をモチーフとした「鉄道風景」作品12点をご紹介
タムロン鉄道風景フォトコンテスト 過去の作品紹介 Vol.3 鉄道と日常生活をモチーフとした「鉄道スナップ写真」
タムロン 鉄道風景コンテストの過去の入賞作品の中から、鉄道と日常生活をモチーフとした「鉄道スナップ写真」をご紹介します。
第11回鉄道風景コンテスト連載企画
【第11回鉄道風景コンテスト連載企画 Vol.1】旅と鉄道写真のすすめ by 矢野直美
タムロン鉄道風景コンテスト第1回目から審査員として参加して頂いている、「元祖・鉄子」の愛称で親しまれている、鉄道フォトライター矢野 直美氏に、旅先で鉄道を撮影する楽しさや心惹かれる被写体について語って頂いています。
【第11回タムロン鉄道風景コンテスト連載企画 Vol.2】鉄道風景写真 作品作りの奥義直伝 by 広田尚敬
連載企画の第2回目は矢野直美さんと同じく、タムロン鉄道コンテスト第1回目から審査員として参加いただいている、鉄道写真家の先駆者、広田 尚敬氏に、鉄道写真撮影の奥義を作品と一緒に語って頂いています。
【第11回鉄道風景コンテスト連載企画 Vol3 】鉄道風景写真撮影 プロに学ぶ機材とテクニック by 米屋こうじ
連載企画の第3回目は日本をはじめ、世界の鉄道風景を撮影するため旅を続けている写真家 米屋こうじ氏がフルサイズデジタル一眼とフルサイズミラーレス一眼の2本を使い「鉄道風景」の撮影方法について作品と供に紹介しています。
TAMRON MAGの「鉄道」レンズインプレッション記事はこちら
鉄道写真家 杉山 慧氏がタムロン35-150mm F/2.8-4 Di VC OSD(Model A043)で、初夏の「しなの鉄道」を撮影
鉄道写真家 杉山 慧氏が、TAMRON 35-150mm F/2.8-4 Di VC OSD(Model A043)1本で撮る、爽やかな夏の様相に姿を変えた山々の麓を走る長野県の「しなの鉄道」での撮影をご覧ください。
写真家 米屋 こうじの超望遠高倍率ズーム18-400mmで、山形鉄道を撮る
写真家の米屋 こうじさんが山形県を走るローカル線「山形鉄道」を撮影しています。使用したレンズは18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD(Model B028)。車両や田園、木造駅などの撮影を通してレンズの魅力をご紹介くださいました。