【第11回鉄道風景フォトコンテスト連載企画 Vol.1】旅と鉄道写真のすすめ by 矢野直美

タムロン鉄道風景フォトコンテスト第1回目から審査員として参加して頂いている、「元祖・鉄子」の愛称で親しまれている、鉄道フォトライター矢野 直美氏に、旅先で鉄道を撮影する楽しさや心惹かれる被写体について語って頂いています。ぜひ、作品と合わせてご覧ください。

みなさま、こんにちは。国内外を旅し写真を撮り続けている鉄道フォトライターの矢野直美です。今年で第11回目を迎える「タムロン鉄道風景コンテスト 私の好きな鉄道風景」。2008年にスタートした第1回目から本当にたくさんの方々の「私の好きな鉄道風景」に胸をときめかせていただいています。

わたしが旅と鉄道写真に魅了されるワケ

写真の楽しさは、「その時、その場所で、その人だけが感じとれる瞬間に出会うこと」と思います。同じ時に同じ場所にいても見つめている風景は人それぞれで、同じ人が同じ場所に立っていてもその時の気持ちで見える情景が変わる。シャッターの数だけ写真が生まれます。だから自由で、面白い。タムロン鉄道風景コンテストは、そんな写真の魅力にあふれています。

心を引かれる瞬間「踏切」

旅先で心を引かれる瞬間はたくさんあります。たとえば踏切もそのひとつ。私は踏切を目にするとつい立ち止まってしまいます。旅先でも日常でも。踏切のこちら側と踏切を渡ったあちら側では世界が変わるような気がして、見つめてみたくなるのです。

その気持ちを表現するには、踏切とまわりの風景が写り込んでいれば充分。鉄道写真だからといって必ずしも車両が写っている必要はありません。決まり事はありませんから、見つめるようにシャッターを切っています。

さまざまに変わる「車窓の景色」

鉄道に乗っているときは、ずっと窓の外を見ています。鉄道ファンが「かぶりつき」と称する車両の一番前や後ろに立っていることもあります。車窓は、季節ごとに花や田園が美しいグラデーションを奏でてくれます。旅先でさまざまに変わる情景を心のままに写しています。

駅弁も大切な思い出「旅先の食」

食べることも好きです。この時は海岸風景の美しさと、海の幸を使った駅弁の美味しさを一枚の写真として記憶したくて撮りました。風景と食を一つのフレームに入れることで旅の思い出にできますし、もちろん駅弁だけの写真も楽しいです。写真は自由ですから、旅先の特別な食事だけではなく、いつも利用する駅の「立ち食いソバ」も撮ってみたいと思うモチーフです。

家族や友人たちの「笑顔」

家族や友人たちと「にっこり」するベタな記念撮影も大好き。そして旅先で出会った方との思い出ショットは大切な思い出になっています。旅はもちろん、鉄道はとても身近で日常的な存在ですから、一緒にいる人、出会う人を撮りたくなります。つり革の輪かから覗いてみる景色も、ちょっと新鮮な気持ちになりました。

いろいろな角度から見つめたくなる「駅舎」

地元の駅を愛していて、旅先の駅にも心惹かれます。都会の駅も、ローカル線の駅も魅力的な被写体ですから、駅の上下左右、いろいろな角度から見つめます。クローズアップしたり、背景を入れたり。外観も内部もホームも、駅は素敵ですね。上の作品は、光の存在感を強調したくて、マニュアルフォーカスでピントを合わせた画像とピントをズラして光のボケ感を強調した画像をカメラ内で合成しました。

光の存在感を強調するのは、カメラ内の合成だけではなく、多重露光という方法もあります。最近のカメラにはさまざまな機能があり、そして使用するレンズによっても表現方法は無限に広がります。

写真は、自由。だから、面白い!

鉄道写真は、日常や旅先で、家族や友人と一緒に、一人の時間と、さまざまな風景があります。そして写真は「これが正解」という答えがなくて、とても自由なもの。

その「自由さ」が、タムロン鉄道風景コンテストの一番の特徴です。使用するカメラやレンズは問いません。季節や場所も問いません。車体が写っていなくても良いのです。鉄道とその周辺が映し出された写真であれば、風景、スナップ問わず、応募することができます。いつもの通学路で目にする風景、家族で出かけた鉄道公園、散歩途中の踏切、旅先で心に残った風景、廃線跡など、本当に自由です。

テーマはたったひとつ、「あなたの好きな鉄道風景」です。

今年も、みなさまの目に映った「私の好きな鉄道風景」に出会えることをとても楽しみにしています!

第11回タムロン「鉄道風景コンテスト」:矢野直美氏からのメッセージ

第11回タムロン鉄道風景コンテスト開催中!

今年もタムロン鉄道風景コンテストの応募がスタートしております。応募につきましてはこちらの記事や第11回タムロン鉄道風景コンテスト特設サイトをご覧ください。

第11回タムロン鉄道風景コンテスト

写真家プロフィール

矢野 直美 Naomi Yano

国内外を旅しながら写真を撮り、文章をつづる「フォト・ライター」。鉄道旅をこよなく愛することから「元祖・鉄子」の愛称でも呼ばれる。写真作品とエッセイを発表しながら、さまざまなメディアに登場。講演会やフォトコンテストの審査員も務める。著書に「汽車通学」(KADOKAWA/メディアファクトリー)、「ダイヤに輝く鉄おとめ」(JTBパブリッシング)、「おんなひとりの鉄道旅」「矢野直美の駅弁旅」(小学館)、「鉄子の旅写真日記」(CCCメディアハウス)など多数。

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