【第16回 タムロン・マクロレンズフォトコンテスト 連載企画Vol.1】写真家 大村 祐里子氏がすすめる「日常の中のマクロ」

本年度、タムロン・マクロレンズフォトコンテスト「ノンジャンルの部」の審査員をさせていただきます、大村祐里子です。

マクロレンズと聞くと、「クローズアップの世界」「使用シーンが限られる」というイメージを抱かれるかもしれませんが……。

そんなことはありません!

マクロレンズは、一本で引きから寄りまで、幅広い絵を撮れる万能レンズです。私はマクロレンズだけを持ってスナップに出かけることも多々あります。

そこで今回は、TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)一本を持って、撮影にでかけてみました。

マクロレンズでスナップ

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:200

草花の向こう側から電車が走ってくる様子を撮影しました。マクロレンズはこういった引きの絵ももちろん撮れます。

ピンク色の花が可愛らしかったので、花を前ボケとして生かしながら、奥を走る電車にピントを合わせました。絞り開放、かつ90mmという長めの焦点距離特有の大きなボケが、この写真の主題を明確にしてくれました。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:200

緑色をした川に佇む白い鳥が目に飛び込んできたので、絞り開放にしてシャッターを切りました。こちらも先ほどの一枚と同じく、鳥、という主題が明確に伝わってきます。35mmなどの広角で撮った場合は、鳥、というより「情景」が写ったのではないかと思います。

マクロレンズで引きの絵を撮ると、撮影者の視点がより伝わりやすい一枚に仕上がるように感じます。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:200

紫陽花の背後に青い壁があり、そこに差し込む木漏れ日が、白い炎のようで面白いと思いました。そこで、中望遠の大きなボケを生かして、背景を大胆にぼかし、木漏れ日をテクスチャのように仕上げました。紫陽花が白く燃えているようで好きな一枚です。

90mmの大きなボケは、背景を模様やパターンに変化させ、被写体を演出するスパイスへと生まれ変わらせてくれます。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/30秒 ISO感度:320

90mmは、歪みが少ないのも大きな特徴です。

カフェのテラスから店内を望みながら撮影をしました。このような直線の多い絵も、歪んでいない、気持ちの良いビジュアルに仕上げられます。柔らかい日差しが差し込む暖かい日だったので、絞りを開放にしてパラソルにピントを合わせ、ふんわりとした雰囲気を出してみました。

焦点距離:90mm 絞り:F/9 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:200

ガラス張りのビルを、やや絞って撮影しました。絞ると、急に絵が締まってパリッとします。縦横の直線がまっすぐに描写されており、非常にスッキリして見えます。

焦点距離:90mm 絞り:F/4 シャッタースピード:1/25秒 ISO感度:200

鮮やかな赤が美しい飲み物を、クローズアップで撮影してみました。やはり、寄りたいときにググっと寄れるのがマクロレンズの最大の魅力ですね。30cmまで近づけるので、椅子に座って目の前のものを撮りたいときも、立ち上がらずに済みます。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:400

どこの道端にも生えている、ピンク色の花をつけた小さな草も、マクロレンズを通すと、一瞬で、見たことのない姿に変わります。マクロレンズは、被写体の別の姿を写し出す鏡のようだ、といつも思います。その鏡を持って、様々なものの新しい姿を見つけるのがマクロレンズを使う醍醐味です。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/25秒 ISO感度:400

鉛筆立てに、無造作に立ててある色鉛筆も、マクロレンズで寄って撮影してみると、まるで赤い色鉛筆がなにかを考えているように見えます。日常的なシーンを途端にドラマティックに変えてくれるのがマクロレンズです。身の回りのものを、片っ端から撮ってみたくなります。

手前に鉛筆がたくさんあり、AFがやや迷ってしまいそうなシーンでも、MFを使えば楽にピント合わせができます。MFへの切り替えは、ファインダーを覗きながら、左手で鏡筒のスイッチを押すだけです。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/1600秒 ISO感度:200

逆光で透ける葉脈が美しかったので、ぐっと寄ってみました。黒背景の中に浮き上がる金色の葉脈は、まるで恐竜の背中のように見えました。5cmくらいのただの葉っぱを、見たことのないものに変えられるのがマクロレンズの魅力です。

焦点距離:90mm 絞り:F/4 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:250

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:200

SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)の描写は、優しく、ファンタジックな雰囲気の写真を撮りたい方にとても向いているように思います。

日常のシーンをマクロレンズで

以上、SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)の作品を何枚かご覧いただきました。

マクロレンズは、それだけで引きから寄りまでカバーできます。一本持ってスナップにでかければ、豊富なバリエーションの絵を撮ることができます。また、他のレンズよりも更に寄れるので、引いた絵からは想像も出来ないような、寄った写真も撮ることができます。

クローズアップの作品はもちろんですが、マクロレンズの良さは「寄れる」だけではありません。日常の中でマクロレンズを生かした作品も、ぜひご応募くださいね。お待ちしております。

写真家プロフィール

大村 祐里子 Yuriko Omura

写真家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒。有限会社ハーベストタイム所属。雑誌・書籍での執筆やアーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。

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