【第16回 タムロン・マクロレンズフォトコンテスト 連載企画Vol.2】写真家 並木 隆氏がとらえた「マクロレンズの世界」

本年度より、タムロン・マクロレンズフォトコンテスト「ネイチャーの部」の審査員をします、並木 隆です。

花を撮り始めた高校生のとき、タムロンのマクロレンズは憧れの存在でした。フリーになってやっと手にすることができて、すでに四半世紀・・・。柔らかいボケ味と花びらのやわらかな質感をしっかり再現する描写力は、リニューアルをしても頑なに守られてきました。それが今でもタムロンの90mmマクロを使い続ける理由です。

ここではTAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F017) で撮影したマクロレンズの世界をご覧ください。

マクロレンズの特長や個性を活かして撮る

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:1000

マツカゼソウという花の葉ですが、葉の芯の部分がちょっとだけ明るい色になります。アンダー目の露出で明るい部分を強調したかったのですが、単にアンダーにするだけではコントラストが足りない。そこで小さな白い花の前ボケを明るい部分と重ねてコントラストを増すことで、イメージ通りに仕上がりました。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:100

花のクローズアップというと花芯というイメージがありますが、それは単なる先入観。あなたがキレイだと思ったところなら、どこにピントを合わせてもいいのです。それが決して色がなくたって、地味だって構いません。それが個性なのですから。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:100

色鮮やかなアジサイが咲く中、日陰でひっそりと咲いているカシワバアジサイ。このくらい地味な方が個人的には好き。でも、撮影するときくらいはちょっとだけ華やかにしてあげたいと、木漏れ日がたくさん降り注ぐ中で輝くよう演出してみました。ちょっと引いたフレーミングでも、遠くの背景を持ってくればしっかりボケてくれます。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/1600秒 ISO感度:100

ピンクのムギナデシコとは違い、白いムギナデシコはとってもクール。そんなイメージを強調するためにホワイトバランスを白熱電球にして青味を強くしました。木漏れ日の明るい部分と花が重なると花が背景に溶け込んでしまうので、少し暗い木漏れ日の部分と重なるようアングルを微調整しています。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:250

花よりもこの放射状に伸びる茎の部分に惹かれました。もっと寄ってもよかったのですが、それでは手前の白い花がボケ過ぎてしまうので、やや引いてボケ味をコントロール。マクロレンズは絞り値を変えずとも、ピント距離で前後のボケが変わるので、同じ被写体、同じアングルでも被写体の大きさをちょっと変えてその変化を試してみると、ボケ味のコントロールが自在にできるようになります。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:200

たくさんの花に囲まれている雰囲気を出したかったので、あえて引きのフレーミングで撮影。マクロレンズというとクローズアップ専用というイメージが強いですが、中望遠レンズとしても十分に使えます。背景がボケないときは、背景との距離が近いだけ。アングルを低くすれば、おのずと遠くの背景が入って大きなボケ味が得られるでしょう。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:500

アジサイのガクを裏から、しかも隙間から見える花の花芯を、わざと手前にピントをズラしてボケだけでシルエットのように見せています。どこかにピントを合わせなければいけないというのも単なる先入観。最短撮影距離の短いマクロレンズだからこそ、このようなボケだけの作品を作ることができるのです。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:200

前ボケ、後ろボケのふわっとした感じの柔らかさ、それでいてピント面はしっかりとしながらも固さがなく、花びらの質感をしっかりと描写している。タムロンのマクロレンズらしさが出ている作品です。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:3200

霧が出ている中でクモの巣を探すと、細かな水滴がたくさん付いています。光はなくとも前後の水滴がキレイなボケになるよう、クモの巣に沿うようにレンズを向けています。家主のクモは・・・あえて外しました。だって、クモがいなくてもこれだけでクモの巣ってわかりますからね。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:200

たくさん咲いているラベンダーの爽やかさを出そうと、引きのフレーミングで切り取りました。ここまで引いたフレーミングですと、ピント面の前後のボケが少なくなるので、主題が曖昧になりがちです。そんなときはより大きくボケる手前の花の前ボケをたくさん入れるのがポイントです。

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:320

ホテイアオイの花びらの色が好きです。そこで、画面全部が薄い紫色になるよう、花のたくさん咲いているホテイアオイを探してレンズを向けました。花のクローズアップはそこがどんな花のどの部分なのかということを説明する必要はありません。キレイだったらそれでいいのです。だって、そこに惹かれたのですから。

それぞれの目線でとらえるマクロフォト

タムロン90mmマクロは、クローズアップ時は適度なワーキングディスタンス(被写体からレンズ先端までの距離)を確保できるので扱いやすさがあり、引きでは中望遠の90mm単焦点レンズとして使うことができるので、1本のレンズで幅広い作風が作れる万能レンズでもあります。

常用レンズとして皆さんの目線で切り取ったマクロレンズの世界を是非フォトコンテストに応募してください。

写真家プロフィール

並木 隆 Takashi Namiki

1971年生まれ。高校時代、写真家・丸林正則氏と出会い、写真の指導を受ける。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)中退後、フリーランスに。花や自然をモチーフに各種雑誌誌面での作品発表。日本写真家協会、日本写真協会、日本自然科学写真協会会員。

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