【第17回 タムロン・マクロレンズフォトコンテスト 特別企画 Vol.2】写真家 大村 祐里子氏が広角レンズで描く、夏の色

今年の夏は思うように出掛けられないという方も多いのではないでしょうか。しかし、被写体は身近なところにも数え切れないほど存在しています。今回は、タムロンの”寄れる”広角レンズ3本、TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F050)TAMRON 24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F051)TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F053)を使って、慣れ親しんだ夏の光景を、いつもとは少し違った視点で切り取ってみたいと思います。

日常のスナップから、変わったクローズアップ写真まで。実は面白い20mm。

20mmという画角は、視野より広いからこそ描けるものがあります。しかも、TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F050)は驚くほど被写体に寄れるので、画角の広さを生かした日常のスナップから、変わったクローズアップ写真まで、1本で幅広い画を撮ることができます。

焦点距離:20mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100

神社の境内に結んであったおみくじにググっと寄ってみました。夏の青空の下、赤や青や白色のおみくじがとても爽やかに見えました。広い画角が、おみくじだけではなく周りの状況もしっかり説明してくれました。背景のボケ方も自然できれいです。

焦点距離:20mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:100

散歩中に、ガシャポンを見つけました。夏の光に照らされたパステルカラーのカプセルが涼しげできれいでした。最短撮影距離0.11m付近まで近づきましたが、画角が広いので、周りのカプセルまで写し込めました。タムロンレンズの優しい色表現はこういう画にぴったりだと思います。

焦点距離:20mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:100

道端に、潰したペットボトルが重ねて置いてありました。強い日差しが当たり、近未来的な雰囲気を醸し出していたので、近づいて撮影してみました。広角レンズで大胆に近づくと、普段見慣れているものも面白いテクスチャのように切り取れて楽しいです。ホワイトバランスを寒色側に振って、近未来感を演出しました。

焦点距離:20mm 絞り:F/5.0 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:100

海から上がってきた女の子が、浮き輪を引きずりながら走り去っていく様子をおさめました。夕陽に照らされた浜辺と女の子のシルエットを目の前にして、夏休みが終わってしまうような喪失感を感じました。強い逆光状態でしたが、ゴーストやフレアも出ず、スッキリした画に仕上がりました。

常に持ち歩きたい、24mm。

私は視野が24mm~28mmのあいだなので、このあたりの焦点距離が最も使いやすいと感じます。見たものをそのまま写せる24mmは、起きてから寝るまで、ずっと持ち歩きたいくらいです。さらに、TAMRON 24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F051)は0.12mまで寄れるので、近づきたいなと思ったときでもノーストレス。私にとって理想的なレンズです。

焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:200

神社の境内を歩いていると、頭上で風鈴が風になびいていました。リンリンという涼しげな音が夏らしいと感じました。動きを出したかったので、下からあおるように撮影しました。このダイナミックさは広角ならでは。絞り開放で、最短撮影距離あたりまで風鈴に近づいているので、背景は適度にボケています。玉ボケの形も整っていて、気持ちが良い1枚になりました。

焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:100

木陰で涼んでいると、上から枯れ葉がひらひら落ちてきました。葉だけに注目すると秋っぽくなってしまうと思い、横にあったうちわまで画角に入れて”残暑”な雰囲気を出してみました。最短撮影距離近くまで葉に寄っているのですが、クローズアップな印象になりすぎないのが”寄れる”広角レンズの良いところだと思います。

焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:100

街角で、あひる型の容器に入ったシャボン玉のおもちゃが目に止まりました。眩しいくらいの日差しが作り出す、オレンジと青色の影が印象的でした。周辺がゴチャゴチャしていたので、思い切っておもちゃと影に寄ってみました。

焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:400

広角レンズを使うとき「中を覗きこんでみる」と面白い画が撮れることがあります。夏の風物詩であるブタさん蚊取り線香の中にレンズを突っ込んでみました。中はこうなっていたのですね…。ちょっとしたトンネルみたいで面白いですね。

バランスの良さで言うなら、35mm。

焦点距離:35mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:200

最高気温が35度近い日でしたが、風通しの良いお座敷でかき氷をいただきました。見たままに近く、背景をある程度ぼかしても、被写体の歪みもだいぶ少なくなる35mmは目の前のテーブルに置かれたものを撮るのによい画角だといつも思います。

焦点距離:35mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:200

いちご味のかき氷をすくい上げたところです。氷のシャリシャリと冷たい感じを写したいと思い、最短撮影距離0.15mまで近づいてみました。あまりの近さに、ファインダーを覗きながら「うそ、こんなに寄れるの!?」と驚いてしまいました。おかげで、瑞々しい氷の質感をきっちりと表現できました。個人的に夏らしいなと思う一枚です。レンズがとても小さくて軽いので、片手にスプーン、片手にカメラ、という状態でも問題なくホールドできました。

焦点距離:35mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:100

グラスにサイダーを注いでみました。シュワシュワと弾ける炭酸が心地よかったので、グラスにレンズを突っ込んで、水面すれすれから中の様子を撮影してみました。泡のトンネルの中にいるような、ファンタジックな画になりました。レンズの表面には防汚コートが施されているので、こういったレンズに水がついてしまいそうな状況でも安心です。

レンズを使用してみての感想

寄れる広角レンズは、広角特有のパースペクティブを活かしながら、接写もできるという優れものです。ご紹介した3本は「広い画も、クローズアップした画も撮りたい!」という、欲張りな私の願望を存分に叶えてくれました。また、重さを実感できないほど小型軽量な点も素晴らしいです。夏の暑い中、3本のレンズを持ち歩きましたが、そのコンパクトさのおかげで疲れ知らずでした。結果としてフットワークがいつも以上に軽くなり、たくさんの被写体と出会うことができました。

タムロン・マクロレンズ フォトコンテストは、今回から「ハーフマクロ賞」が新設されました。この記事でご紹介した3本も「ハーフマクロ」に該当します。”寄れる広角”という特性を生かした作品もお待ちしております。

写真家プロフィール

大村 祐里子 Yuriko Omura

写真家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒。クラシックカメラショップの店員を経て、写真の道へ。福島裕二氏に師事後、撮影のほか、雑誌・書籍・Webでの執筆など、さまざまなジャンルで活動中。趣味はフィルムカメラを集めて、使うこと。

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