【第17回 タムロン・マクロレンズフォトコンテスト 特別企画 Vol.1】写真家 並木 隆氏が寄れる単焦点で見つける、心が動いた瞬間

タムロンのフルサイズミラーレス用ソニーEマウント単焦点レンズTAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F050)、TAMRON 24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F051)、TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F053)の3機種は、最大撮影倍率0.5倍というマクロレンズ並のクローズアップ性能を持った広角単焦点レンズです。実際に驚くほど寄れますが、これまでの広角レンズに比べて”寄れる”ようになっただけで、「クローズアップ専用」または「ハーフマクロ」などと意気込む必要は一切ありません。
3機種に共通して小型・軽量なデザインなので、単焦点レンズとして常にボディに装着できる手軽さをもちながら、被写体に寄りたいと思ったらいつでもマクロレンズ並に寄れる、ある意味「欲張りなレンズ」たちなのです。
”寄れる”単焦点レンズで見つける面白さ
焦点距離:20mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/4000秒 ISO感度:500
ある公園のテラスで休憩をしている時、ふと見上げると屋根がこんなに素敵な模様をしていました。屋根の縁が入らないようにアングルを調整しつつ、模様だけの印象になるよう左右対称にフレーミング。曇り空だったのでプラス側に多めの露出補正をしても地味な印象が残ったため、ホワイトバランスを白熱電球に変えてやや青味をプラスしました。
焦点距離:20mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:1250
下を向いて咲いているフクシアは、潜り込まないと花芯と花びらを一緒に写すことができません。TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F017)も色ノリやボケ味まで最高のマクロレンズですが、ワーキングディスタンスが長いので上向きに咲く花だけにレンズを向ける必要があります。ですが、20mm F2.8ならワーキングディスタンスが短いので下向きに咲いている花にも簡単にレンズを向けられます。下から⾒上げるように被写体を捉えたお陰で、被写体よりも上に咲いている花や葉をボケとして取り込むことができました。
焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:800
縦の線を見せたくて大胆に切り取りましたが、実はこれU字溝の中を勢いよく流れている水で、白い線は太陽の反射です。ホワイトバランスを⽩熱電球にしたのは透明感を出したかったからです。シャッタースピードはいろいろ試しながら好みのブレ具合になった1/40秒を選択しました。見た目のキレイな被写体だけが素晴らしい画になるとは限らないのです。
焦点距離:35mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:400
訪れた植物園で被写体を探していると、小さな川にかかるコンクリート製の橋の上に、こんなにかわいい被写体がありました。おそらく来園したお子さんが作っていったのでしょう。周辺の葉っぱが髪の毛のようだったので、ちょっと引いてフレーミングしました。大人になるとなかなかこういう発想はわかないものです。
焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:1600
雨ばかりの日々が続く中で、窓際に座りながらガラスについた雨粒にピントを合わせてみました。グリーンのボケがキレイだったのでちょっと寄り気味にしていますが、最短撮影距離が短いと撮影距離によるボケの変化の幅も増えるので(寄れば寄るほどボケは大きくなります)、ボケのコントロールも自由自在です。
焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:2000
池にかかる木道の脇に、開花し始めたばかりのスイレンが咲いていました。花びらはほんの少し開いたくらいでしたが、その雰囲気を出すために24mmで寄って花びらの先端を前ボケにし、開き始める雰囲気を演出してみました。花びらに守られている花芯のオレンジ色がとても印象的でした。
焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:2000
愛知県・明治村の聖ザビエル天主堂の中で撮影しました。種明かしをすると、映り込んでいる像はスマートフォンの画面です。テーブルと椅⼦の間隔は短かったのですが、座ったまま撮影できたのはワーキングディスタンスの短いレンズのおかげです。そして、最短撮影距離が短くないとここまでボケてもくれません。みなさんも是非お試しください。
さまざまな視点によるマクロ作品を
クローズアップはマクロレンズならではの表現ですが、タムロンレンズらしい美しい柔らかなボケ味を生かした作品もお待ちしております。また、第17回目の今年より「ハーフマクロ賞」も新設されましたので、被写体に寄りすぎない作品でのご応募も期待しております。
写真家プロフィール

並木 隆 Takashi Namiki
1971年生まれ。高校時代、写真家・丸林正則氏と出会い、写真の指導を受ける。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)中退後、フリーランスに。花や自然をモチーフに各種雑誌誌面での作品発表。日本写真家協会、日本写真協会、日本自然科学写真協会会員。
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マクロレンズは草花や昆虫などのネイチャー写真に限らず、シャープな描写や美しいボケ味を活かして様々な撮影を楽しむことができます。人や動物、部分のアップ、工夫を凝らしたアートな写真など、アイディアと様々な視点でとらえた作品をご覧ください。
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