【私たちのレンズストーリー #01:SP 35mm F1.4】「記録」を「表現」に昇華する一本を生み出したタムロンのポリシー

2019年、私たちが生み出したタムロンSPレンズシリーズは40周年を迎えました。
私たちタムロンは、40年の間、いつも「最高の一枚のためのレンズを、写真を愛する人へ届ける」ため、さまざまなレンズを生み出してきました。1979年に始まったSPレンズシリーズのコンセプトは、変わることなく、つねにその時の最高の技術と熱意で進化と深化を遂げてきたと自負しています。
大切な節目を迎えた今、タムロン公式ブログ「TAMRON MAG」の新コンテンツ、『私たちのレンズストーリー』として、私たちが生み出してきた大切なレンズや技術をひとつひとつの物語として、皆さんにお届けしていきたいと思います。
「記録」を「表現」に昇華する一本を生み出したタムロンのポリシー
40年の間、挑戦し、進化し続けるというスピリットを持ち、走ってきた私たちがリリースした最新のレンズは『TAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045)』です。
これまでの40年間、高倍率・コンパクト・まだ見ぬ新しいレンズを作ろうと果敢にチャレンジを続けてきた私たちは、ここであらためて原点に立ち返ることにしました。「写りの良さ」をとことん追求して、「最高に性能のいい」レンズを作るという、シンプルかつ大きな挑戦です。
カメラを持ち、写真を撮る人にとって、レンズを選ぶときに大切になることは何だろうそして、私たちタムロンに期待することはどんなことだろう。写りがいいこと、AFが正確なこと、持ちやすいサイズ、フレンドリーな価格……いろんな選択肢や基準があると思います。それを理解した上で、カメラそのものの時代性も考慮し、私たちは『TAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045)』を作るにあたって「究極の写り」を追求しました。
言葉にすると当たり前のような、とてもシンプルなことですが、実際にこの言葉通りのレンズを作るのは簡単なことではありませんでした。
なだらかなボケ表現は階調の豊かさがカギ
いまでは海外でも「Bokeh」と呼ばれて親しまれている「ボケ」。自分の目に見えている部分をふんわりとぼかすと、ピントの合った部分がスーッと浮かび上がります。この「ボケ」を生かすことで、「記録」を「表現」に変えることができると言ってもいいのではないでしょうか。非日常的な演出感が、撮る人、見る人を共に魅了してしまうのが、「ボケ」なんです。
でも、この「ボケ」をきれい、美しいと感じてもらうためには、ピントの合った部分がしっかりと写っていて、かつ違和感のないなだらかな階調を持ったボケをつくることが大事になってきます。ここ、すごく重要なところです。
ちょっと難しい話をしましょうか。
写真の階調、つまりグラデーションの変化を、山の裾野の広がりのようなものと考えてみてください。ここで言う階調というのは、写真の濃淡の変化のことです。「ボケ」はメインの被写体の前にも後ろにもあるもので、たとえば後ろのボケをよりきれいに美しくしたいと「球面収差(※1)」を意図して残すと、後ろのボケの裾野が広がって、ボケがよりきれいに連なります。でも、こうすると、被写体の前のボケは、階調が失われてしまいがち。
あちらを立てれば、こちらが立たないは、レンズを作るときには、とてもよくあることなんです。
※1 球面収差とは、「ある物点を光源とする光線束が入射瞳の半径のみに関係して像点に収束せずに起こる収差」です。
皆さんもご存知の通り、レンズというのは虫眼鏡のように1枚のレンズで構成されているわけではなく、複数枚のレンズの組み合わせでできています。何枚ものレンズを通して被写体を見ることになるので、1枚1枚の特性からそもそも画質が低下する原因を抱えているということなんです。その原因となるひとつひとつを、どのように解決していくか。それが私たちの腕の見せどころであり、ユーザーの皆さんへ提示したい、私たちなりの「表現に対するひとつの答え」です。
結果として、「記録」が「表現」に変わる瞬間をこのレンズで味わえる、そんな一本に仕上がりました。
「写真にこだわるユーザー」にこそ、ぜひ使っていただきたい。そして、このレンズで撮った写真はきっと「誰かに見せたい!」と感じていただける1枚になると、私たちが自信を持ってお勧めします。

発売日:ニコン用:2019年6月26日 キヤノン用:2019年7月25日
希望小売価格:126,500円 (税込)
ニュース: SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045) プレスリリース
製品ページ: SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045) 製品ページ
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