写真家 岡本 洋子のマクロレンズSP 90mmで楽しむテーブルフォト

皆さん、こんにちは。今年もタムロン・マクロレンズ フォトコンテスト、「ノンジャンルの部」の審査員をやらせていただきます岡本 洋子です。身近な被写体を撮影するテーブルフォトは自宅で気軽に楽しめますから暑い夏にはぴったりですね。素敵な作品が撮れたらコンテストの「ノンジャンルの部」にぜひ応募してくださいね。
今回は、SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)を使い、いろいろ撮影してみましたのでご覧ください。
身近な被写体でテーブルフォトを楽しもう!
一枚目の写真( 焦点距離:90mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/25秒 ISO感度:1000 +1.3補正)
食べるのももったいないようなきれいな色と形の干菓子をいただいたので、食べる前に写真を撮っておこうと思いました。窓際のレースのカーテン越しに光が入るテーブルの上に壊さないようにそおっと干菓子を並べます。下にうちわを置いて和風なイメージにしてみました。窓辺から差し込む柔らかい夕方の光がやや赤みを帯びてレトロな色合いの雰囲気になりました。あとはどのように撮るか、アングルとフレーミングです。一つ一つの形がわかるように真上から俯瞰的に撮ることで一つ一つの干菓子の繊細な形や質感が描写できました。干菓子の入った入れ物全体は入れずにカットして動きを出しています。
焦点距離:90mm 絞り:F/3.8 シャッタースピード:1/30秒 ISO感度:100 +0.3補正
夏らしい見た目も爽やかできれいなオレンジゼリーはテーブルフォトの被写体にぴったりです。平らなガラスのお皿の上にゼリーを置いて、オレンジ色がより映えるようにイタリアンパセリの葉っぱを真ん中に飾ってみました。窓際のダイニングテーブルの上に置いてガラスのお皿の下には網目模様のあるランチョンマットを敷きました。お昼時の太陽は窓を明るく照らし、逆光の光はゼリーの立体感や透明感を出してくれました。全体は入れずに斜めのアングルから縦でフレーミングすることで手前から奥への奥行き感も出ました。窓からの光が青味を帯びて夏のイメージにぴったりなクールな印象になりました。
焦点距離:90mm 絞り:F/18 シャッタースピード:1/6秒 ISO感度:100 +0.3補正
ジュエリーの撮影にも挑戦です。トンボの羽のブルーの石が印象的なペンダントトップを撮ってみました。光は窓辺の昼間の自然光を利用しています。透明なアクリルの板があったので、その上にペンダントを置いて、10㎝くらいのアクリルの板の下の隙間にピンク色の皺のテクスチャーのある紙を敷いて背景に利用しました。紙の上に直接置いたわけではないのでジュエリーの平面性を保ちつつ背景との距離が適度にあるので皺の表情も出て面白い効果になりました。ジュエリーの硬質な輝きを出すためにボカさずにF/18まで絞り込んで撮っています。
焦点距離:90mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:100 -0.3補正 ストロボ発光
貝殻で作った面白い形のピアスがあったので、それを飾りの額にぶら下げて撮ってみることにしました。窓辺に木のトレーを置いてレースのカーテンを引いて背景にしています。木の板はトレーを逆さまにして荒い木目を利用しました。レフ版を使っただけでは手前からの光が暗く貝殻の虹色の輝きが出なかったのでクリップオンストロボを使って光を手前から当ててみました。ストロボの発光体の部分には据え付けのディフューザーを使い光を柔らかくしていますが、バウンスさせずに正面から当てて素材から光を反射させています。イメージ通り貝殻の複雑な模様が浮かびあがりました。絞りはあまり絞らずに手前のピアスだけにピントを合わせ、あえて後ろのピアスはボカしています。
焦点距離:90mm 絞り:F/5 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:100 +1.0補正
テーブルフォトは特別にどこかへ出かけなくても身近にある素材を被写体に、ちょっとした工夫をすれば誰もが楽しめる撮影手法です。そしてそこで活躍するのが被写体に近づけるマクロレンズです。単焦点のレンズならではの明るい開放値と描写の良さも魅力です。小さな被写体を大きく写すことで、細部の質感も見えてきます。また近寄ることによって大胆にボカしたりとボケ味の表現がコントロール可能です。テーブルフォトの撮影を楽しむときに、光は窓辺から射す自然光を利用するといいでしょう。逆光気味になり手前が暗くなるのでこれを補うのにレフ板を使ったり、プラスに補正するのもコツです。時間帯によっては光の色も変わってきますし、室内光も利用するのであれば、ホワイトバランスもオートがいいのか、いろいろとイメージに合わせて調整してもいいでしょう。あとは背景にくるものや小物を上手く活用して楽しく撮れたらいいですね。身近な被写体を利用してテーブルフォトに挑戦してみてください。そして素敵な写真が撮れたら、ぜひマクロレンズ フォトコンテストの「ノンジャンルの部」に応募してくださいね。
タムロン・マクロレンズ フォトコンテスト
岡本洋子さんが審査員をつとめるタムロン主催のフォトコンテスト。募集期間は5月15日~10月15日
写真家プロフィール

岡本 洋子 Yoko Okamoto
東邦大学生物科を卒業。12年間の会社勤務の後、日本写真芸術専門学校にて写真を学ぶ。卒業後は秋山庄太郎氏のアシスタントを務め、独立フリーへ。現在、花や植物、風景を主に撮影。各種撮影会や写真教室講師を務める。
女子美術大学非常勤講師、日本写真協会会員(PSJ)、日本自然科学写真協会会員(SSP)
【写真家サイト】
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