写真家 岡本 洋子がマクロレンズSP 90mmで冬のマクロ撮影を楽しもう!

影模様

写真家 岡本 洋子氏がSP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)を使用して冬のマクロ撮影をしました。

なんという葉っぱかわかりませんが、枯れて小枝に引っかかってぶら下がっていました。風に吹かれてゆらゆらと揺れていましたが、オートフォーカスで右側の葉っぱにピントを合わせて撮りました。オートフォーカスも素早くピシッと合い気持ちいいですね。主役が地味な色合いなだけに背景にくる色は意識して、緑の葉っぱや赤い花の色をぼかしてアクセントに利用しています。枝に引っかかる小枝の位置を三分割上に配置して葉っぱの右側の空間が空くようにフレーミングし、柔らかい背景から葉っぱが浮かび上がるように撮りました。ピントの合ったところはシャープで、それでいてとろけるようなボケの美しさは明るい開放値のマクロレンズならではですね。

一枚目の( 焦点距離:90mm 絞り:F/4.2 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:800 +0.3補正)


冬のさくら

焦点距離:90mm 絞り:F/8.0 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:400 +1.0補正

桜と言えば春の代表的な花ですが、冬の寒空にピンク色のきれいな桜が咲いていました。花も大振りでピンク色も濃く花付きもいいようです。なんという名前かしらと思って樹名板を見てみると“ヒマラヤザクラ”とありました。50年くらい前にネパールの皇太子より贈られた桜だそうです。花芯も長くアップにして撮るのも面白いと思いマクロで狙ってみました。背景の色は赤く色づいた紅葉の葉っぱです。秋色を背景に、ピントは大振りのシベに合わせ絞り過ぎず開け過ぎずとF/8で撮りました。三脚は使えなかったので、手ブレ補正機能を活用して風に揺れる被写体を捉えるために何度かシャッターを切りました。新しい手ブレ補正機能は大いに役立ってくれました。


風に吹かれて

焦点距離:90mm 絞り:F/3.5 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:800 +0.3補正

冬になると鮮やかな葉っぱや花が減って、樹々は枯れて葉っぱは落ちます。そうすると枯れて残った葉っぱが目立つようになって面白い被写体になります。日の当たった枯れた葉っぱの表面に手前の小枝の影が黒く映っています。これは光がなければ存在しない、光が作り出したアート作品を撮らせてもらったものです。周囲の色も枯草色のシックな茶色でまとめることができました。カメラと葉っぱがなるべく平行になる位置を探して、絞りはあまり絞らずに撮りました。枯れた葉っぱが光で輝いて渋い革のような質感です。このような質感が描写できるのもマクロレンズならではだと思います。


光の女神

焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/30秒 ISO感度:100 -0.7補正

冬ならではの被写体の一つにイルミネーションがあります。暗くて撮るのが難しいイメージがありますが、光そのものは明るいので露出オーバーにならないようにアンダー目に撮ればライトの色もきれいに撮れます。イルミネーションは光の玉ボケがファンタジーに表現できますから、玉ボケができる位置を探して撮りました。前景に玉ボケになるツリーの光を大きく入れて中景のツリーの光がそれよりは小さく、一番奥にピントを合わせた主役の女神のイルミネーションを重ねて玉ボケの光をまとうようにフレーミングしました。玉ボケをやわらかくしたかったので絞りは開放で。


夢の中

焦点距離:90mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/13秒 ISO感度:1600 -1.0補正

イルミネーションは色々なフィルターを使うことで面白い効果が得られます。これはソフト効果とクロスの光条効果のあるクロスフィルターを使っています。光条の方向はフィルター枠を回すことで好きな位置に変えられます。丘の上を歩く人物のシルエットを、斜面に広がる緑色の光と赤い背景のイルミネーションで挟んでソフトクロスを効かすことで非現実的な、夢のような雰囲気になりました。二人連れの人物が来るまで待ってちょうどいい位置でレリーズしています。90㎜のマクロレンズは開放絞りの明るい単焦点レンズとしても活躍するので、暗い場面でもピント合わせやフレーミングのしやすさは抜群です。

SP 90mm F/2.8で冬のマクロ撮影を楽しみましょう!

普段、花や植物を撮る私にとって、冬というのはちょっと変わった被写体が撮れる面白い季節なのです。普通に考えれば花や緑もないし、何を撮ればいいの?っていうことですが、冬になれば樹々の葉っぱが落ちて樹形や枝が目立ってきます。また生い茂っていた緑がなくなり背景がシンプルになってきます。フォトジェニックな乾燥して枯れた葉っぱや質感の面白い被写体がそこかしこにあって、上手く背景と組めばそれこそアートな作品に仕上がります。花だって実や種になって面白い被写体です。主役の色合いは渋くて地味目ですが、背景に光や明るい色をもってくれば十分美しい作品になります。小さな被写体が豊富な冬の時期はマクロで寄って撮るのが面白いのです。また冬の風物詩、イルミネーションも最近では色々なところで開催されて身近な被写体になりました。マクロレンズの明るい開放値と柔らかなボケを活かしてファンタジーな表現が可能です。外は寒いですけど冬ならではの被写体を見つけにでかけましょう。北風に負けないように!

写真家プロフィール

岡本 洋子 Yoko Okamoto

東邦大学生物科を卒業。12年間の会社勤務の後、日本写真芸術専門学校にて写真を学ぶ。卒業後は秋山庄太郎氏のアシスタントを務め、独立フリーへ。現在、花や植物、風景を主に撮影。各種撮影会や写真教室講師を務める。
女子美術大学非常勤講師、日本写真協会会員(PSJ)、日本自然科学写真協会会員(SSP)

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