写真家 黒田 明臣氏のポートレート タムロン SP 45mmで広がった光の描写

はじめまして、フォトグラファーの黒田 明臣です。
かれこれ三ヶ月ほど、プライベートの作品撮影を通してSP 45mm F/1.8 Di VC USD(Model F013)を使用してきました。今回、TAMRON LENS BLOGに寄稿する機会をいただいたので、その魅力をご紹介したいと思います。

自分がレンズに求めるポイントは二つ。様々な媒体で言い続けていることですが、解像感と階調です。レンズを語る際、解像感やボケ感についてのみ謳われる事が少なくありませんが、個人的に重要視しているのは低周波域をうまく描写できるか、つまり階調です。このあたりが優れたレンズはRAW現像時に色調の補正もしやすくしてくれるので好んで使います。

今回はSPレンズならではの描写で、自分らしい光や色表現に処理した作品たちをご紹介します。

一枚目の写真( 焦点距離:45mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:200)

曇りの日に一瞬差し込んだ弱い光を捉えました。F/2.0という浅い被写界深度と、スポット的にあたった光が被写体の顔を絶妙に浮きあげてくれています。肌の階調が美しいグラデーションとなっていてお気に入りの一枚となりました。

焦点距離:45mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:200

曇りの柔らかい拡散光であっても、きちんとシャドウ部分や色を描写していて感動。特に顔にかかったシャドウ部分にカーテンを透過したことによる赤色が出ている点は嬉しい驚きでした。いずれも優れた階調性によるものではないでしょうか。

焦点距離:45mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:200

あえて被写体の半分を影にいれた一枚。よくみるとわかりますが、影となっている部分もしっかりと解像してくれています。

焦点距離:45mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:400

白熱灯一灯という決して良いとはいえない光源の状況であっても、きちんと髪や布の質感を描いてくれています。全体的な階調と瞳の解像感が魅力的。

焦点距離:45mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:400

同じく白熱灯を光源とした一枚。開放に近い状態でレンズにとっては嫌な角度のはずですが、フレアもゴーストも出ていません。SPレンズのポテンシャルが伺えます。

解像感は、後処理である程度は調整が可能なポイントですが、階調をしっかりと描写できていないデータを後処理で調整することは困難です。そんな自分がレンズに求めるポイントを的確についてきたレンズがSP 45mmでした。

焦点距離:45mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:200

自然光と白熱灯によるミックス光。それぞれの色温度の違いを見事に描写してくれています。また、光の落ち方を描く階調性や、まつ毛や肌の質感を表現する解像感にも驚かされました。

焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:200

低照度環境でも、光の明暗差をキレイに描写してくれています。そして開放F/1.8でもこの解像感と立体感です。

TAMRON SP 45mm F/1.8 Di VC USDを使用してみて

肌のハイライトからシャドウまでのグラデーション、そしてシャドウ部分の階調をきちんと描写できるか、RAW現像時にセンサーやデータの性能を十二分に発揮できるか、開放で使用できるかなど、様々なポイントを重要視する欲張りな自分にとっても、表現の可能性を広げるだけの可能性を示してくれるレンズでした。肌の階調をしっかりと押さえてくれる点が何よりも嬉しいポイントです。

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写真家プロフィール

黒田 明臣 Akiomi Kuroda

広告・雑誌・企業のビジネス写真を中心に活動する傍ら、セミナー・ワークショップ講師としても活動中。独学で学んだ撮影技法・RAW現像・ライティングに関するテクニックを、カメラ誌・書籍・ウェブメディアにも執筆中。2017年より商業写真家として活動開始。写真と前職のウェブエンジニアリング、両方のスキルを活かしてSNS時代に何か寄与できないかと模索している。

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タムロン SP 45mm F/1.8 Di VC USD (Model F013)

45mmという焦点距離、そして極めてシャープな描写を持つ個性的な標準レンズが誕生。フルサイズ対応の大口径標準単焦点レンズとしては初の手ブレ補正機構を搭載。開放F/1.8からクリアで切れの良い描写を実現。