写真家 大門 美奈がSP 45mmで冬の終わり、椿の森を撮る

冬の終わりになると毎年向かう植物園がある。
植物園といっても、整然と植物が並んでいるような場所ではなく、
山まるごとひとつ植物園にしてしまったような、なかなかワイルドな処だ。
実際、トレッキングシューズ無しで入園するのは無謀というもので、
藪をかき分けつつ進まなければならない獣道も2~3箇所どころではない。
何が目的でここへやって来るのかというと、椿を撮影するため。
ここ数年の間、冬になると必ず椿を撮影しに出かけるのだが、
この植物園は椿の本数こそ多くはないものの多数の品種が揃うため、
比較的長い期間、枝に咲く椿から落椿まで楽しめる。
45mmという画角は秀逸だ。
50mmは基本となる画角とは言われるものの、
実際のところ「あとほんの少し広角であれば」と思うことがよくある。
今回は開放値~少し絞ったくらいの絞りを多くしたが、
大げさ過ぎない柔らかさ、という言葉がしっくりくる描写であった。
SP 45mm F/1.8 Di VC USDは、個性的なレンズではあるが、
写真を見てひと目でそれと分かるほど個性的なクセではなく、
しかし柔らかでデリケートさが特徴の、ごくごく自然な印象のレンズ。
コンパクトなサイズも、フルサイズ化で益々大きくなってゆくデジタル一眼には有難い点。
このレンズ1本でどこか旅へ出かけたくなるレンズである。
一枚目の写真( 焦点距離:45mm 絞り:F/3.2 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:100)
枯れ落ちた松葉が垂れ下がり、まるでヤドリギのようになっていた椿。
やわらかな桃色の椿が松葉をやさしく受け止めているようだった。
焦点距離:45mm 絞り:F/2.5 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:125
今にも小動物が出てきそうな獣道。このあと何かが音を立てて駆け抜けていった。
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:125
立体感を出すため開放値で撮影。自然な奥行きと目の前にあるような立体感が出せた。
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:125
椿森のなかでひっそりと佇むようにあった落椿。地面からは新芽が次々と顔を出している。
やわらかなボケが森の神秘的な印象を引き立てている。
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/4000秒 ISO感度:125
曇り空の中、早咲きの桜が蕾を開き始めていた。力強く天へと伸びる枝が美しい。
焦点距離:45mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:125
伝統的な日本家屋をバックに、白く光る桜。春の訪れは毎年嬉しいもの。
今年もまた撮影に向かうのが楽しみである。
写真家プロフィール

大門 美奈 Mina Daimon
1977年神奈川県横浜市出身。茅ヶ崎市在住。公募展をきっかけに2011年より写真家として活動をはじめる。第1回キヤノンフォトグラファーズセッションファイナリスト。無印良品、アパレルブランド GARDE COLLECTIVE とのコラボレーション企画等にも参加。主な写真展に「Portugal」(2011)、「本日の箱庭展 -the Miniature Garden-」(2013)、「The Collection」(2016)写真集に『Al-Andalus』(2014)がある
【写真家サイト】
- ホームページ:http://www.minadaimon.com
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