写真家 まるやゆういち氏がタムロンSP 35mm F1.8 (Model F012)で撮るクロアチア旅スナップ

僕は撮影機材を多く持つのが得意ではありません。ただでさえ荷物が多くなりがちな撮影旅行はまして極力荷物を減らしたいです。と、あれこれ考えつつもお気に入りのレンズはほぼこれ1本です。
TAMRON SP 35mm F/1.8 Di VC USD (Model F012)
行く先はアドリア海の真珠とも称されるクロアチア。小ぶりなスーツケースと小ぶりなカメラバッグだけを携えて。
一枚目の写真( 焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/1600秒 ISO感度:100
よく晴れたザグレブ市内にて。日がなひたすらスマホを眺める店員。
自然な旅スナップに35mmがピッタリ
旅は好きですが旅慣れていません。ヨーロッパもこれが初めて。旅先のクロアチアを選んだ理由は、友人夫婦が新婚旅行で訪れて素敵な写真をたくさん見せてもらったから。人生何がきっかけになるかわかりませんね。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:200
リエカ市の朝、バスの車窓から。彼女もまた、自分と同じツーリストでしょうか。なぜ35mmかと問われれば、広すぎず狭すぎず自分のスナップ感覚にフィットするから。周りの景色をもっと引き算したい時は3歩半近づき、周りの景色をさらに入れ込みたい時は2歩後退する。それも単焦点レンズの面白さの一つです。
そして、35mmを使うこと以外に自分に課している縛りがあります。
- 開放で撮ること
- 横位置で撮ること
- 幸せな写真であること
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:200
昼下がりのスプリト。太陽は元気に降り注ぐ。ここでは見えないがすぐ右手側にクルーザーが係留される。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:100
シベニクの聖ヤコブ大聖堂で出会った親子。嬉しさが溢れ出るお父さん。
開放で撮る理由はいくつかありますが、例えばこういう時。クロアチアを代表する観光地、ドゥブロヴニク旧市街を展望台から。ごく浅い被写界深度を活用して観光客にフォーカスを合わせてみる。何をどうやったって絵葉書写真には勝てないのでアイディアで自分の作品へ引き寄せていきます。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:100
某有名アニメ映画の舞台にもなったと言われるドゥブロヴニク旧市街。
スナップ撮影はかくれんぼだと思っています。必ずどこかに被写体は隠れている。でもそれは時間や季節によっても変化する。言い換えると光の当たり方でひょっこり顔を出したりもします。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100
コインの反射を見つけた時の嬉しさ。グーニーズに出てくる海賊船のお宝は、きっとこんな輝きだったんだと思います。
何気ないサポートが作品に仕上げてくれる
タムロンの35mmは肌の色、日向、日陰、前ボケ、様々な要素を見ても至って自然な写りをしてくれるのが嬉しいところ。比較的暖色傾向が好きなので手放せない一本です。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100
ドキドキしながらシャッターを切ります。
手ブレ補正機構「VC (Vibration Compensation)」は、やはり暗所に強い。シンメトリーになるように構図を組み、そっとシャッターを押します。VCは手ブレを防いでくれるとともに、ファインダー内も見やすくなるので撮っていて疲れを感じさせませんね。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/50秒 ISO感度:1600
ザグレブ市内の聖母被昇天大聖堂にて。この直後にミサが始まるため、早々に退散させられるまでの1分間で何枚か夢中で写真に収めました。
VC効果をもう1枚。夜明けの聖母被昇天大聖堂をホテルから。僕はスナップに三脚を持ち歩かないのでいつもVCの恩恵に預かっています。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:1250
早朝5:30ころ。湿度も低く1日を通して汗をかくことはほとんどありません。
レンズとして写りがいいことはもちろん大事だけれども、そのサイズ感も気になるところ。フルサイズ対応ながらも比較的コンパクトかつ、1日持っても疲れないその軽さは本当に気に入っています。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/3200秒 ISO感度:100
スロベニアに足を伸ばしてブレッド城からブレッド湖に浮かぶ聖マリア教会を望む。
半逆光で撮影しても一切のフレアやゴーストは見られません。こういうデリケートな光をうまく拾える性能がまた撮影意欲を掻き立てますね。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:100
ブレッド湖に浮かぶ聖マリア教会内部から。奇跡的に静謐な時間。
アンダーで撮りたいためにf11まで絞った1枚。カリカリしすぎず、ここでも自然な描写で楽しめます。
焦点距離:35mm 絞り:F/11シャッタースピード:1/2500秒 ISO感度:100
逆にいうと開放でもある程度のシャープさが発揮できているのが分かります。
行程中、1日だけ雨に見舞われましたが、簡易防滴構造、また防汚コートのため特に支障なく撮影を続行。こういう細かな仕様が撮影に集中できる環境になるため、作品制作に没頭できるのでしょう。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:200
ユネスコ世界遺産である、プリトヴィツェ湖群国立公園にて。エメラルドグリーンの湖面に思わず見とれます。
街も非常にクリーンに保たれており、国民性の高さを伺えます。開放でも程よくシャープに写り、直線の歪みも見られません。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/1800秒 ISO感度:100
朝のザグレブ市内のスーパーマーケット。物価は日本と同等か少し高いくらい。某有名炭酸飲料の価格は2倍ほどする。通貨単位はクーナ。1クーナ約16円。
TAMRON SP 35mm F/1.8 Di VC USD(Model F012)を使用してみて
何本かの35mmを試しましたがやはりタムロンが自分の正位置であるように思います。描写力・大きさ・軽さ・VCなど一つ一つの特徴が相まって、決して前に出すぎることなく、それでいてしっかりと自分の撮影スタイルを支えてくれる存在。まだまだこのレンズと一緒に旅を続けて行くのは間違いありません。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:100
西陽を受けるスプリト市郊外。アドリア海はいつも静かに見守ってくれていました。
写真家プロフィール

まるやゆういち Yuichi Maruya
1974年 青森県生まれ
1992年上京、2000年 タヒチの美しさに惹かれ写真を始める
2003年「PHaT PHOTO」写真教室で学ぶ 2004年 写真家テラウチマサトに師事 2011年 独立 2016年現在 人物や商品撮影などを中心にしつつ、120名以上の受講生を誇る単焦点倶楽部を主宰するなど撮影講師としても精力的に活動する。前職は洋服店店長、大工と異色の経歴を持つ。
【写真家サイト】
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SP 35mm F/1.8 Di VC USD(Model F012)
焦点距離35mmのスタンダードな広角レンズに手ブレ補正機構「VC」を搭載。0.2mという最短撮影距離を達成。他にない極めて実用性の高いレンズが誕生。 開放F/1.8から高い性能を達成。