写真家 福田 啓人が進化した最新の超望遠ズームレンズSP 150-600mm G2で映し出す野鳥と動物たち

写真家・福田 啓人氏が超望遠ズームレンズSP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2(Model A022)を使用して北海道で野鳥と動物達の撮影しました。

一枚目の写真( 焦点距離:600mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/2500秒 ISO感度:800)

釧路にある丹頂鶴自然公園でヒナが生まれた。親鳥の背から顔を出すヒナが可愛い。この公園は基本的に金網で囲われているが小窓が設置されている。手持ち撮影可能な大きさのA022であれば、その小窓から金網を避けて撮影可能だ。

焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:400

可愛らしいヒナが近くまで寄ってくれた。600mm+APS-Cカメラは換算焦点距離が900mm相当と長くなるので大きく写すことができた。レンズの描写はとても良好で、ヒナの羽毛の質感、輝く瞳の描写まで綺麗に写し出してくれた。

焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:1600

キタキツネの親子を撮影。元気に動き回る子ギツネ達はやんちゃ盛りだ。軽いレンズのおかげでフットワークも軽く、様々な角度から撮影することができた。

焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:800

逆光で照らされた毛の質感も一本一本まで美しく写し出されている。子ギツネの 輝く瞳が印象的な一枚が撮影できた。暗部の描写も良好だ。

焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:1600

エゾリスがカタクリとエゾエンゴサクの花畑に降りてくれた。もう少ししゃがんで前後をぼかしても良いのだが、写真全体を花で埋めたかったので、あえて立ち位置から撮影している。花の形が適度に残り、自然なボケと描写で写すことができた。

焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:1600

赤い花が咲く枝にヒレンジャクが留まった。周囲と同じ色合いで目立ちにくいが、中央一点AFでしっかりと目にピントを合わせる。野鳥の動きは素早いので、そのまま一枚目を撮影。その後、動かないで居てくれたらAFロックをして構図を整え、二枚目を撮影すればチャンスを逃すことも少ない。

焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:6400

オシドリのメスが木陰で休んでいた。レンズが手持ち出来るので、しゃがみながら静かに近づき写した一枚。かなり暗い場所だったので露出をプラス補正して撮影した。A022のおかげで、色合い、描写ともに満足のいくカットが撮影できた。

焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/2500秒 ISO感度:3200

アカゲラは小さく動きが素早いが、見上げるような角度でも手持ちなら撮影はしやすい。慣れないうちは600mmで小さい野鳥をファインダーに入れるのは難しいかもしれないが、例えば一つの方法として300mm前後で野鳥を導入後、600mmにズームするというズームレンズならではの撮影方法もある。

焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/3200秒 ISO感度:1600

宮島沼のマガン。早朝は4時過ぎ頃に飛び立ち、夕刻になると沼に戻ってくる。青空が背景の撮影は障害物も無いので多点のAFを活用でき、被写体をスムーズに追える。連写した中から、 翼の開きの良い一枚を選んだ。

焦点距離:150mm 絞り:F/5 シャッタースピード:1/8000秒 ISO感度:800

マガン達は渡りの中継地として宮島沼にやってくる。その数は何万羽と膨大な数だ。夕刻の沼ヘと群れで戻る姿は迫力の一言。様々な角度から沼に戻ってくるため、手持ち撮影が有利で素早くレンズをマガンに向けることができて撮影がしやすい。

焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/8000秒 ISO感度:800

天候、大気の状態などで夕焼けの色合いも日々違ってくる。この日の夕焼けは色も濃く私好みの色合いに空が染まってくれた。空の色も綺麗に再現され、太陽を直接フレームに入れて撮影してもゴーストやフレアの心配はほとんど無く、レンズコーティングの素晴らしさを感じた。

SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2を使用してみて

今回、超望遠ズームレンズ「SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2」(以下、A022)を使用して北海道で野鳥と動物達を撮影した。マガンの渡りや動物達の繁殖の時期に撮影ができたのは幸運だった。私は初代150-600mmのレビューもさせていただいている。初代も当時としてはとても良いレンズだったが、後継になるA022はさらに進化していた。

特に写りの面での性能向上が大きく、600mmの絞り解放の写りがとても良くなっている。そこから、さらにF/8まで絞ると全く不満の無い描写で、野鳥の羽毛の描写も繊細だ。AF速度も満足いくスピードで、野鳥の動きをスムーズに追ってくれる。そして、想像以上に強力だったのが手ブレ補正機能だ。今回、ほとんどの撮影を手持ちで行なっているが、手ブレも少なく安心して撮影することができた。もちろん、撮影時にはブレないように細心の注意を払ってはいるが、思っていた以上にブレは少ない。600mmを三脚無しで撮影可能なのはレンズの軽さのおかげでもある。軽さ+強力な手ブレ補正で撮影可能な範囲も広がるだろう。

また機材の重さが苦で、野鳥は好きだが撮影を諦めていたという方にも、A022の存在は野鳥撮影を始める良い切っ掛けになると思う。現時点では野鳥撮影に最適なレンズのうちの一本であることは間違いない。コストパフォーマンスも良いので、このレンズをきっかけに野鳥撮影の裾野がさらに広がってくれると嬉しい。

写真家プロフィール

福田 啓人 Hiroto Fukuda

1973年横浜生まれ。
会社員時代にカワセミと出会い写真撮影に目覚める。その後、癌で亡くなった父の最後の言葉「後悔するな」を胸に写真家を志す。会社を退職後、東京写真学園で写真を一から学び直し、卒業後はフリーの自然写真家として活動。主な作品に「カワセミ ある日、カワセミに出会いました。」「カンムリワシ 守るべきもの、石垣島の白い天使」「アカショウビン 琉球の紅」(3作品とも写真集、雷鳥社より出版)がある。

現在は一年を通してタンチョウを撮影するため、北海道釧路市に在住。撮影には複数年を要すると判断し、移住を決めた。日本写真家協会、日本写真協会、日本野鳥の会、日本鳥類保護連盟、WWF会員。

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