写真家 井上 六郎氏 春の誘いは軽快な望遠ズームタムロン 70-210mm F4 (Model A034)とともに

温かい風が頬を通り過ぎ、霞の空は青を淡く醸し出して、咲き誇る花々を浮き上がらせます。陽気に心が躍り始め、どこかへと誘われるこの季節に、春風を受けて飛び立つ飛行機も心なしか一段と躍動感が溢れます。
春の便りに誘われて、心とともに身軽になった装いに合わせ、軽快に使える中望遠ズーム、70-210mm F/4 Di VC USD (Model A034)をカメラに付けて飛行場へと向かいました。
一枚目の写真( 焦点距離:70mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:64)
初めは、飛行機写真の聖地ともいわれる大阪・伊丹空港の南東に位置する千里川土手から。
空港ターミナルからも最寄り駅からも少し歩く距離にある場所ですが、このタムロン70-210mm F/4 Di VC USD(Model A034)なら重さも大きさも気にせずに、陽気を感じながら気軽にウォーキングで訪れるのも悪くないでしょう。身軽になった分、望遠の基礎とも呼べる中望遠域のこのズーム1本だけに集中し、飛行機が見せる躍動感や質感、旅情を感じさせるような写真表現に挑戦してみましょう。
フットワークを活かし、風景とともに飛行機をとらえる
轟音とともに飛び行く旅客機は、いつも迫力ある姿を見せてくれます。そんな躍動する機体をよりダイナミックに写そうと望遠、さらに望遠、もっと望遠と何かと欲張ってアップを狙いがちです。でも、今回は淡い青を背景に春の色を見せる桜も交えて撮影してみました。周りの風景と飛行機をバランスよくフレームにおさめるには、この70-210mmくらいの中望遠が程よい焦点距離になります。
機体によっては離陸して上昇する角度が大きかったり、低かったりしますが、背景や前景との納まりを考えてアクティブに動いてアングルを探してみましょう。そんな折は小型・軽量のレンズこそが助けになってくれます。
焦点距離:210mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:64
満開に近い姿を見せる桜は成田空港傍の公園にて。
埋め尽くす桜の木々の間に機体が入るよう、70-210mm F/4 Di VC USD(Model A034)を付けたカメラ1台だけをぶら下げて、散策しながらあれこれとアングルを探します。飛行機と奥の桜にフォーカスを合わせ、前ボケとして左右から桜が入り、そして飛行機を見上げるふたりがちょうど居合わす位置に遭遇できました。鋭く上昇するイースター航空737-800型機はソウルへ向けて、桜の園を掠めて行きます。
焦点距離:210mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:64
積載する旅客と荷物、そして大陸を横断するための燃料。北米や欧州行きの機体はどれも重量級で、滑走距離も長く、上昇角度も緩やかになります。
事前にロサンゼルス行きの日本貨物航空(NCA)、747-8型機の離陸を知って、ベストな場所を探すべく公園内をさらに移動。離陸する機体がこの二本の桜の間に入ってくれと願いつつ、桜木に存在感を出すために左の桜にフォーカを持ってきました。花見の来場者との隙間を縫ってアメリカ大陸へと飛び立って行きました。
焦点距離:175mm 絞り:F/4 シャッタースピード:1/13秒 ISO感度:640
暖かくなったなら、夜空を背景にした撮影に挑戦してみませんか?この日は満月に近い月が、薄い雲の向こうから顔を覗かせていました。雲のない夜の月はハッキリとその表情を見せますが、雲がかかると淡く月の周りに光のグラデーションができ上がります。
夜の空を背景にするのは羽田空港に降りようとするANAの737-800型機。この70-210mm F/4 Di VC USD(Model A034)ならば流し撮りに対応する手ブレ補正があるので、あえてスローシャッターで臨む撮影も面白いでしょう。
焦点距離:135mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:4000
流し撮りの効果が実感できるのは、被写体がキッチリと止まり背景がきれいに流れる写真が撮れた時でしょう。伊丹空港を見渡す公園、スカイパークから、離陸速度に達した夜のJAL737-800型機が正面に来た位置で流し撮りをしました。ファインダーを覗いて見えるフォーカスポイントや格子表示を利用し、ファインダー内での任意の1点と機体の1点を随時重ねるようにして追い続けることが、流し撮りの基本です。そしてこの70-210mm F/4 Di VC USD(Model A034)が搭載する手ブレ補正機構「VC」も忘れずにONにします。
焦点距離:112mm 絞り:F/14 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:500
桜の季節、成田空港横の公園には早くも鯉のぼりが泳いでいました。鯉の胴体から飛行機が飛び出すアングルを狙ってみます。飛び出して行ったのは成田空港から日本国内各地を結ぶジェットスターのA320型機。泳ぐ鯉にも、この機体にもフォーカスが合うように絞りをF/14で設定し、少し感度を上げての撮影です。
望遠とはいえ、この70-210mm F/4 Di VC USD(Model A034)のレンジならば、被写界深度を深め、手前のものとやや遠くを飛ぶ機体両方にフォーカスを合わせることができます。
焦点距離:102mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:100
北米大陸とユーラシア大陸間を渡たる飛行機が、遥か10,000m上空を通過して行きます。
桜の花、機体の両方にフォーカスを合わせるのではなく、機体を主役に据えて、桜の花々を手前でボカしてみます。通常は絞りの値で行うボケのコントロールですが、ここではズーミングによる望遠効果で、適度な前ボケとなるように調整。そこそこのスピードで過ぎ行く機体でしたが、軽量なこの70-210mmズームなら真上を見上げる構えでも難なくこなせました。
TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USDを使用してみて
タムロンにはこれまでにも数種類の望遠ズームレンズがラインナップされています。SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2 (Model A025)や、SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD (Model A030)、100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD(Model A035)、SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2 (Model A022)など、どれも飛行機やスポーツを屋外で撮影するには適役なレンズでしょう。
ここに新たな70-210mm F/4 Di VC USD(Model A034)の登場と聞き、すでにラインナップ中のレンズで焦点域をカバーしているため、その必要性はほとんど感じませんでした。
しかし、いざカメラにこのレンズを装着して構えてみると、その扱い易さに「なるほど、これはこれで有り!」とうなずけます。ズームレンジこそ3倍で意外性はないものの小型で軽量であるゆえに、身軽になって、気持ちも軽く撮影に臨めます。基本ズームと呼べるこの1本は、原点に戻される感覚も味わえました。
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写真家プロフィール

井上六郎 Rokuro Inoue
1971年、東京生まれ。写真家アシスタントを経て、出版社のカメラマンとして自転車、モーターサイクルシーンなどに接する。後、出版社を退社しフリーランスに。マラソンなどスポーツイベントの公式カメラマンも務める。自転車レース、ツール・ド・フランスの写真集「マイヨ・ジョーヌ」を講談社から、航空機・ボーイング747型機の写真集「747 ジャンボジェット 最後の日々」を文林堂から上梓。日本写真家協会、日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。
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タムロン70-210mm F/4 Di VC USD (Model A034)
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