スポーツフォトグラファー 水谷 たかひと氏がタムロン70-180mm F2.8 (Model A056)でダートトラックを狙う

最近様々なラインナップを揃えているタムロンのソニーEマウント用レンズシリーズの中から、今回初めて使用したF2.8大口径望遠ズームレンズのインプレッションをお届けします。
今回の被写体はバイクでのコントロールが難しい、土の上に作られたコースを周回する「ダートトラック」をチョイス。使用したレンズはTAMRON 70-180mm F2.8 Di III VXD(Model A056)で、望遠側が180mmなので少し寄れる動きものジャンルを選びました。
一枚目の写真 ( 焦点距離:180mm 絞り:F/3.2 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:100)
正面からリアタイヤを滑らせながら迫ってくるバイクを、速いシャッタースピードで切り撮りました。迫ってくる被写体へのAFの追従は、食いつけば離さないくらい優れています。左右に振られて進んでくる被写体に対しては、速いシャッタースピードで被写体ブレを抑える撮影方法が、ベストだと思います。動感を出したいからと、わざとシャッタースピードを落とす方法もありますが、私はこのシチュエーションでは速めのシャッタースピードを多用します。余計なブレを少なくして、シャープなピントを確保し、連写で撮影した写真の中から一番良いものを選びます。
この写真も連写したものの中から選びました。ハンドルが進行方向に対して逆向きになるカウンター量が大きく、さらに巻き上げる砂利が多い迫力ある写真です。
速いAFや“寄れる”ことを活かして狙い通りに撮る
焦点距離:128mm 絞り:F/11 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:50
流し撮りで撮影してみました。上下動や横の速度変化が少なく、平行で進んでくる被写体は流し撮りの方が動感を出しやすくなります。ビシッとヘルメットにピントの芯が来ています。
焦点距離:180mm 絞り:F/ 3.2 シャッタースピード:2000秒 ISO感度:100
近接で競り合っている姿を後ろからアップで狙いました。AFの追従はカメラ・レンズのAFプログラム(アルゴリズム)各々の特性があるので、迫って来る被写体に対してはAFの追従性が良くても、逃げて行く被写体に対しては弱い場合があると感じていたこともありました。ですが、今回の組み合わせではストレス無く、逃げて行く被写体にもAFが追従してくれて、これには驚きました。
焦点距離:123mm 絞り:F/ 3.2 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:320
車体のロゴマークについた傷が印象的だったので狙ってみました。こんなに寄れるの!?ボケるの!?と驚きました。この写真は絞りを開放値近くに設定していますが、画面上部の背景が非常にきれいなボケになっていますね。この70-180mm F2.8は、躍動シーンだけに限らず近接撮影やボケを活かしたシーンなど、多種多様なシチュエーションで使えるレンズです。
焦点距離:131mm 絞り:F/3.2 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:100
焦点距離:70mm 絞り:F/14 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:50
望遠側だけではなく、ワイド側でも撮影してみました。常にほこりが舞っている状況にも関わらず、空の抜け感も申し分ない仕上がりになっています。どの焦点距離で撮影しても満足のいく仕上がりは、光学性能の高さを感じますね。
焦点距離:180mm 絞り:F/3.2 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:100
焦点距離:180mm 絞り:F/3.5 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:50
焦点距離:166mm 絞り:F/ 5.6 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:50
確実にピントが合い、ホイールが回っていることが確認でき、リアタイヤから弾かれる砂利に勢いある状況を流し撮りで表現した一枚です。「シャッタースピードを遅くして、もっと流した方が」と思われるかもしれませんが、無理にシャッタースピードを遅くすると失敗写真を量産してしまいます。今回のような動きもの撮影はシャッターチャンスが少ないので、狙ったシーンは確実にものにするための判断も必要になると思います。流し撮りは奥が深い撮影方法です。詳しい解説はまたどこか、別な機会でご紹介したいです。
TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)を使用してみて
今回使用した70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)は開放F値が2.8ということで、少々重かったり大きかったりするイメージがあったのですが、実際に使用してみると「軽い!小さい!取り回しが非常に良い!!」まずそれに驚きました。軽くてコンパクトだけがポイントだけではなく、AFは高速です。そして高精度です。映りについてはシャープで美しいです。素直に不満点はありません。良い意味で「困っちゃったなぁ」と。何故なら誰でも手にした途端に写真のレベルがアップしそうで、プロとして活動している私の立場が無くなるのでは、と心配してしまうほどでした。
使用したカメラはソニーα9Ⅱでカメラとのマッチングもとても良いです。それと、レンズに手ブレ補正機構「VC」が付いていないことに納得できました。ボディ内手ブレ補正で十分なのです。撮影時の使い勝手をより向上させるために世界最小・最軽量を目指し、それを実行したタムロンの商品企画も評価したいですね。
写真家プロフィール

水谷 たかひと Takahito Mizutani
1968年東京生まれ。1990年東京総合写真専門学校卒業と同時に渡仏。様々なスポーツイベントを撮影し、3年後に帰国。拠点を日本に移しスポーツイベントを追いかける。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、一般社団法人日本スポーツ写真協会(ANSP)理事、国際スポーツプレス協会(AIPS)会員、株式会社マイスポーツ出版代表取締役
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