スポーツフォトグラファー 小川 和行氏が、超望遠ズーム タムロン50-400mm F4.5-6.3 (Model A067)で少年野球を撮る

初めて寄稿させていただきます。小川 和行と申します。日頃はパラスポーツを軸にさまざまなスポーツの撮影を行なっています。
今回は、タムロン 50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)を使って少年野球を撮影しました。少年野球は日本中どこでも見られる光景で、スポーツの出発点とも言えます。プロスポーツは選ばれたアスリートで構成され、またそのエンタメ性からも非日常を演出された空間。そんなプロスポーツの現場とは違って、少年野球は日常と非日常が混ざり合う場所だと思いました。だからこそ標準と言われる50mmから超望遠の400mmまでを網羅するこのレンズ一本があれば、日頃の練習風景のスナップから、真剣勝負の舞台まで幅広く対応できます。
今回はソニー α1に50-400mm F4.5-6.3をつけて、練習試合にお邪魔しました。少年野球の非日常側を表現できるような撮影をしてみましたのでご覧ください。
一枚目の写真( 焦点距離:365mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:1600 使用カメラ:ソニー α1)
野球の醍醐味を感じられるバッティング。インパクトの瞬間をとらえるのは難しいものですが、カメラを少し斜めに構えてバットの先まで入るように意識しました。
TAMRON 50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)
ソニー Eマウント用
50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)は、広角端50mm始まりでズーム比8倍、フルサイズミラーレス一眼カメラ対応のソニー Eマウント用超望遠ズームレンズです。50-400mm全域で妥協のない高画質を実現するレンズでありながら、100-400mmクラス同等の小型・軽量サイズを達成。リニアモーターフォーカス機構VXD、手ブレ補正機構VCを搭載し、スポーツや野鳥などの撮影で、被写体の動きに素早くピントを合わせられます。近接撮影能力にも優れ、被写体に存分に近づいたハーフマクロ撮影も可能です。Model A067は、圧倒的な高画質と機動力を兼ね備えた新しい超望遠ズームレンズです。
スポーツ写真の大前提、超望遠でしっかり開放で撮れる描写力
スポーツを撮るうえで望遠側での開放F6.3はやや暗く、シャッタースピードを確保するためにISO感度をあげ、絞りは開放付近で使います。そのため、ズームレンズの場合は多少のノイズを覚悟した上で、しっかりと描写してくれることを望みますが、最近はカメラの高画素化も相まって、レンズに求められる解像力はより高まっていると言えます。
50-400mm F4.5-6.3を使ってみて、最近の望遠ズームってこんなによく写るの?というのが驚きでした。超望遠をこの軽さで実現しながら開放からこの描写。これならいちいち小難しく考えずに、その場で撮ろうと思ったものを素直に撮れると思えました。ズームレンズだと、つい画角内で被写体を上下ピッタリに合わせたくなってしまうこともあります。しかし、そういった使い方だけでなく、大きく写すことで表現できることもたくさんあります。今回は少年たちの真剣な眼差しを強調できるような写真を撮りたいと考えました。
焦点距離:400mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:1000 使用カメラ:ソニー α1
オーソドックスな野球の写真としてバッターを撮りました。連写速度をそれほど上げなくても、まずはきちんとこういった写真が撮れるのは重要。
焦点距離:400mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:1000 使用カメラ:ソニー α1
ネクストバッターサークルから、ピッチャーを観察する眼差しをアップで撮りました。思い切って寄ることで緊張感のある雰囲気も醸し出せます。
描写力を支える高いAF性能
スポーツ写真といえば動いているものを捉えるAF性能がカギ。50-400mm F4.5-6.3をはじめに使った時の印象はAFにストレスが少ないこと。とらえる速さはこれまで使ってきたレンズと比べても遜色なく合焦してくれて、AF-Cでの追従も良好。高いAFの精度が、描写力を裏付けてくれています。
焦点距離:400mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:1600 使用カメラ:ソニー α1
投球練習中の様子を思い切って望遠で撮りました。これだけ寄ると画角の中で頭が大きく動いてしまいますが、AFはしっかりと追いかけてくれました。目にバチッとピントが合って彼の見据える狙いも見えそうです。
焦点距離:400mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:1600 使用カメラ:ソニー α1
直前までバッター側を見ていたものの、キャッチャーの動きを見て即座に二塁にレンズを振りました。小型軽量のレンズの恩恵と、パッと合わせてくれたAFに感謝。
綺麗なボケ味が被写体を際立たせる
望遠端の開放F値は6.3ではあるものの、被写体と背景の距離感を意識して撮ればボケを活かすことができます。望遠レンズの魅力は、背景の圧縮効果とボケ感にあると思います。これらをうまく使うことで、肉眼では見ることができない非日常感を演出することができます。
焦点距離:200mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:1600 使用カメラ:ソニー α1
こちらもネクストバッターサークルの写真です。被写体には寄って、画角は少し引くことで背景の光を活かすことができました。背景の光のボケ感で、選手の真剣な眼差しを引き立てたいと狙いました。
広角端でも画面の隅まで使える高画質
ミラーレス時代になったことで、ファインダーの隅々まで、フォーカスポイントを動かすことができるようになりました。同時に、レンズも中心部だけでなく、画面の隅まで解像力を求められるようになってきたと思います。50mmから400mmという広い焦点域で中心から隅まで使える、撮影の自由度の高さがこのレンズの強みだと思います。
焦点距離:72mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/1600秒 ISO感度:1600 使用カメラ:ソニー α1
引きで撮ることで、味方ベンチの応援と期待感も入れ込もうと思いました。メインの被写体を端に配置しても安心の描写力でした。
焦点距離:76mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:1600 使用カメラ:ソニー α1
試合終了の挨拶をした後、振り返って味方ベンチに歩き出すところを待ち構えました。すぐにボールで遊んでしまうところに子供らしさが見え隠れ。カメラを地面に置いて構えられるフットワークは軽量のおかげです。
寄れるレンズで、ひと味違った表現も取り入れる
通常、競技撮影では間近まで近づいて撮ることができません。ですが競技のアクションを撮るだけではなく、その周辺を撮ることも立派なスポーツ写真だと思っています。幅広いズーム域だけでなく近接撮影もこなせるということが表現のアクセントになります。
焦点距離:50mm 絞り:F4.5 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:2000 使用カメラ:ソニー α9 II
並んだバットのグリップに注目してみました。野球少年たちの日々の練習がここに現れていると感じます。
焦点距離:400mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:640 使用カメラ:ソニー α1
こちらはバックネット裏からピッチャーを撮影しました。「寄れる」がアダになってネットにAFが合ってしまいがち。そういう時はフォーカスリミッターを設定することで解決します。
TAMRON 50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)を使用してみて
50-400mm F4.5-6.3は幅広いズーム域をもちながら軽量なため、非常にフットワークが軽くなるレンズだと思います。また、動かずに腰を据えて撮る際には別売の三脚座を取り付けられるというのも、それぞれの撮影スタイルに合わせられるポイントです。そんな懐の広いレンズでした。
今回使ってみた50-400mm F4.5-6.3は、事前に「こう撮ろう」とイメージした写真に加え、プラスαのアイデアを与えてくれるレンズだと思います。スポーツ写真は実は非常に身近な撮影です。みなさんもこのレンズで、さまざまなスポーツ撮影と多彩な表現に是非チャレンジしてほしいです。
写真家プロフィール

小川 和行 Kazuyuki Ogawa
1979年生まれ。30歳まで外食業界で働いていたが、一念発起して写真の道へ。日本写真芸術専門学校卒業。パラスポーツを中心に、国内外で数々のスポーツイベントを撮影。
【写真家サイト】
- Twitter:https://twitter.com/KZno2
- Instagram:https://www.instagram.com/kz_no.2/
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ソニー Eマウント用
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