写真家 澤村 洋兵氏がタムロン SP 35mm F1.4 (Model F045)でポートレート。開放で京都の夜の街を攻める。

みなさんはじめまして。フォトグラファーの澤村 洋兵です。この度は素敵なご縁がありましてTAMRON MAG初登場というカタチになりました。嬉しい限りです。
さて、今回ボクの手元にタムロン史上最高傑作と謳われているTAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045)がやってきました。ずっと使ってみたいと思っていたレンズでした。手にした途端、子供の頃にずっと欲しかったおもちゃを与えられた時のようなワクワクが溢れ、どんなふうに遊んでみようかと考えを巡らせました。
そんなカメラバカなボクが選んだ遊び方は、タイトルにもある通り『開放で京都の夜の街を攻める』という、レンズに対しては少し挑戦的な遊び方でした。先に感想を言いますと、「なんだこのレンズは、、、なんと美しい表現をするんだ。」です。ということでSP 35mm F1.4の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。暫しお付き合いください。
一枚目の写真( 焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:560)
冬の夜、21時ごろ。暗い道にポツンと存在する電話ボックス。まるでステージの上でスポットライトを当てられているかのように存在している。なんとなくシネマチックな雰囲気を感じたので、モデルさんをライトが当たる場所に促しました。
光も少ない状況でのガラス越し。「さあ、どうでるSP 35mm F1.4よ。」ところが、そんな不安はお構いなしの素晴らしい写りでした。感動しました。こんな状況の中でも解像感はしっかりあるし収差もほとんど感じない。おかげでF値を気にすることもなく開放でガンガン攻めることができました。そしてこの一瞬の撮影で、今回の撮影は全力でSP 35mm F1.4に頼ってみようと思いました。
もはや価格破壊の解像力。
もう一つ驚いたことは、開放からこの解像感を求めた時に想定される価格です。手の届く価格帯でなければこの表現は得られない。「なんでこの解像力と価格を実現できたのだろう。嘘でしょ??」と思わずにはいられない、切り取られた写真の解像感からくるパワーに圧倒されました。この感じ、みなさんにも一度体験して欲しい。そしてみんなに自慢したくなりました。「どうだ、すごいだろ!」と。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:1600
夜、雨が降る京都の街。京都らしく石畳のようにデザインされた歩道やコンクリートの道路が濡れていることもあり、街頭の光や車の光が縦横無尽に反射している中での撮影。霞んだような写真になりやすい状況の中、このレンズは開放にもかかわらず程よいコントラストとピント面のシャープさを維持しました。ボケの部分に関しては柔らかく光を表現し、なんともまあ良い雰囲気を表現してくれます。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:100
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:640
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:800
様々な色の光が入り混じる街の中、色被りも自然な感じで表現されるため思い切った撮影に挑めます。
レンズ1本で表現できる幅の広さと艶感のある写り
焦点距離35mm で最短撮影距離30cmまで寄って撮れるという自由度の高さもこのレンズの凄さの一つ。このレンズが一本あれば、どんな状況下でもストレスなく撮り手の魅せたい表現を引き出してくれる。
優しいボケ感と艶のある写り。私が思うポートレート写真の重要なポイントとして瞳の写り方があります。ポートレート写真を見る時に一番に目が行きやすい瞳。その瞳の潤いを感じる“艶感”をとても美しく表現してくれました。それだけでも満足のいく表現力のあるレンズです。
こんなにも自由に撮影できるレンズがあると、自分の今まで表現してきた領域から一歩踏み出す勇気を与えてくれます。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:1600
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:2000
目の前にあるものを正しく美しく。理想のイメージに辿り着ける。
目の前に広がる美しい情景をそのまま、もしくはそれ以上なのではないかと思うほど正しく美しく切り取ってくれます。カメラのモニター越しでそのように感じる写りなのに、持ち帰ってパソコンで現像すると、階調表現の豊かさや解像力の高さから、細かな調整をしなくても思った通りの仕上がりに辿り着きました。
これまでの撮影に比べて、こんなにも短い時間で辿り着けるのかというところもSP 35mm F1.4に対して感動したポイントの一つでした。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:1100
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:1400
光の少ない場所での撮影のため暗い部分が多い写真ですが、階調の豊かさから黒く潰れることなく質感を残しています。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:500
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:1100
焦点距離:35mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:200
カメラ正面にかなり強めのスポットライトが照らされていますが、写りが破綻することなく、コントラストも色味もモデルさんの髪や肌の質感もしっかりと残しています。
TAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045)を使用してみて
最初にも言わせて貰いましたが、正直、このレンズに対しての感想は「なんだこの良いレンズは、、、なんと美しい表現をするんだ。」です。すでにこれ以上このレンズの良さを表現する方法が分からないほどの気持ちです。本当に美味しいものを食べた時の感想が「うまい!」としか言えないに近い感覚です。
一度使ったらやみつき、クセになるレンズ。
階調の良さ、素晴らしい解像感、艶感や質感の表現力、表現できる幅の広さ、そして写真好きの懐に優しいコストパフォーマンスの良さ。もう言う事なしです。
どんな状況下でも臆することなく撮り手が思い切りよく撮影できるレンズなので、感覚や感性を余すとこなく表現できます。おかげで自分の限界値だと思っていた領域から一歩越えた写真に出会えました。
フォトグラファーの表現力をさらに広げてくれる、そんな1本です。
写真家プロフィール

澤村 洋兵 Yohei Sawamura
1985年京都生まれのフォトグラファー。 美容師、和食料理人、バリスタ、珈琲焙煎士など、様々な職業を経験してきた異色の経歴を持ち、Lightroomのオリジナルプリセットは世界的に人気。撮る写真は人物写真、風景、スナップなどバリエーション豊か。それぞれの職業で培った感性と、類い稀ないセンスと器用さを武器に様々な瞬間を自分の色にして表現し、多くの共感を生む作品をアウトプットしている。SNS総フォロワー 12 万人以上で今なお増え続けている。モデル撮影や広告写真、旅写真、カメラ関係の講師活動、SNSに関しての講師、SNSプロデュース、レザー製品のデザイン、インフルエンサーとしてなどジャンルを問わず幅広く活躍している。
【写真家サイト】
- Twitter:https://twitter.com/yohei_sawamura
- Instagram:https://www.instagram.com/yohei_sawamura
- Instagram:https://www.instagram.com/yohei_sawamura_sono2
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