写真家 大村 祐里子氏がフルサイズミラーレス⽤⾼倍率ズーム タムロン 28-200mm F2.8-5.6 (Model A071)で撮る東京スナップ

こんにちは。写真家の大村祐里子です。こちらの記事では、α7R IVに、発売されたばかりのソニーEマウント⽤⾼倍率ズームレンズ TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)を装着して撮影した作品と、レンズを使ってみた感想をご紹介させていただきます。
私は新しいレンズを手にしたとき、必ず一日中手に持って、ひたすら歩き回ってさまざまなものを撮るようにしています。そうすると、サイズ感や重量、描写力などレンズの「個性」が自ずと見えてきます。今回も、レンズのことを知るために、一日中手に持って、ひたすら東京の街を歩き回ってみました。
正直なところ、「高倍率ズームレンズってどうなの?」と思っていました。画質が良くなく、仕上がりに満足できないイメージがあったからです。幅広い焦点距離をカバーするあまり、自分の足で被写体を見つけにいかなくなってしまうような気がしていました。
そんな印象が、この28-200mm F2.8-5.6を使ってみてどのように変化したのかを、記事の中で記したいと思います。
一枚目の写真( 焦点距離:118mm 絞り:F/5.0 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:100)
黄昏時、川辺でおしゃべりしている女学生がなんとも「青春」という感じでした。手前の草にピントを合わせて、女の子たちをぼかし、話している内容を想像させるような雰囲気に仕上げてみました。強い逆光状態でしたが、クリアでヌケの良い画にびっくりしました。
どんなシーンも撮り逃がさない!高倍率の魅力
撮影日は快晴で気温も高く、初夏のような気候でした。日差しをある程度避けながらも、屋外の空気を楽しめる場所が良いなと思い、都内にある渓谷を撮影地に選びました。
焦点距離:28mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:100
平日のお昼時でしたが、ほとんど人がいませんでした。私は渓谷の「木々に守られているような雰囲気」が大好きです。川の流れ、遊歩道、背の高い木々。28mmという画角の広い焦点距離のおかげで、目にうつった景色をまるごとおさめることができました。広角派にとって28mm始まりはとても嬉しいです。
焦点距離:33mm 絞り:F/3.2 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:100
焦点距離:200mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:100
「木漏れ日が美しい」と思いシャッターを切ったのですが、その直後に、水面をすいすい泳ぐアメンボを見つけてしまいました。普段だったら、「あんなに小さい被写体は撮れないな……」と諦めてしまうのですが、そういえばこのレンズは200mmまでズームできるではないですか!同じ場所に立ったまま200mmまでズームして、ぐいっとアメンボに寄ってみました。すると、AFは速く正確で、きっちりとアメンボを捉えられました。高倍率ズームレンズの「ストレスフリーさ」を体感した瞬間でした。
焦点距離:28mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:400
歩き回り暑くなったので、渓谷内のお店でラムネを買って休憩しました。ラムネのシュワッとした爽快感を画で表現したいと思い、広角端28mmで最短撮影距離0.19mまで寄り、絞りを開放にして背景を大きくぼかしてみました。
F2.8スタートだからこそ撮れる画だなと思いました。玉ボケがラムネの泡のイメージです。7枚羽根の円形絞りを採用しているので、玉ボケの形もきれいです。レンズのサイズも長さ117mm、重量575gとかなり小さいので、このように手の小さい女性が片手で構えてもラクラク撮れてしまいます。
焦点距離:68mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:400
別のお客さんが食べていたものが美味しそうで、私もつられて追加で宇治金時のかき氷を注文してしまいました。被写体を歪ませず、かつ背景をある程度ぼかせる焦点距離をすぐ選択できるというのは高倍率ズームレンズの良いところですね。私は、タムロンレンズの色や質感を誇張しすぎないところが大好きなのですが、このレンズもまたその特徴を受け継いでいると思いました。
焦点距離:28mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100
お昼時の境内で、スッと風が吹いて爽やかな瞬間をおさめました。私の視野は24mmから28mmくらいなので、スナップをするときは広角派です。カメラ内レンズ補正 (周辺光量、倍率色収差、歪曲収差)にも対応しているので、広角側を使うときでも、周辺光量落ちや歪みを気にしないで済みます。
夕方まで渓谷内を散策してもまだまだ元気だったので、2キロほど先にある大きな川のあたりまで歩いてみることにしました。レンズが軽いと疲労感も少なく、撮影意欲がどんどん湧いてきます。
焦点距離:103mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100
群生している黄色い花が夕方の光に照らされて、きれいだなと思い撮りました。写真を確認すると、自分が感じたこってりした黄色がそのまま描かれていました。やや望遠側にレンズを繰り出し、大きな前ボケをつくって絵に奥行きを出してみました。
雨の日にも安心して持ち出せる機動力
雨の日に撮ってみたいという気持ちが強くなり、雨降りの日を待って撮影に出かけてみました。前の撮影では自然が多いところに行ったので、今度は都会的な景色を見たいと思い、東京の湾岸地帯を歩いてみました。
焦点距離:28mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:200
傘越しに、高層ビルを見上げてみました。雨の日の撮影は、どうしてもレンズに水滴がついてしまいます。さらに、見上げるような撮影ではなおさら。このレンズは、鏡筒には簡易防滴構造が、レンズ最前面には防汚コートが採用されています。多少の水滴はへっちゃらで、お手入れも簡単です。雨の日にも積極的に持ち出せるので、撮影の幅が広がります。
焦点距離:28mm 絞り:F/4.0 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:800
雨の夜は、濡れた路面や鉄骨がとても美しく、撮っていて飽きません。橋のたもとに自転車が停まっているのを見つけました。28mmにして、パースのついたダイナミックな情景を演出しました。
焦点距離:51mm 絞り:F/3.5 シャッタースピード:1/25秒 ISO感度:800
手すりについた水滴がライトに照らされてキラキラしていました。こういう寄りたいときにぐっと寄れるレンズは本当にありがたいです。レンズ自体に手ブレ補正機能はありませんが、ボディ内の手ブレ補正機能を使用できるので、多少シャッタースピードが遅くなっても十分に撮れます。ここでは、感度をあまり上げたくなかったので1/25までシャッタースピードを落としましたが、ブレずにきちんと撮れていました。
焦点距離:28mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:800
さて帰ろうと思い、自分の車に乗った瞬間、フロントガラス越しに電車が通り過ぎていくのが見えました。雨に滲んだその光景がいいなと思い、慌ててカメラを構えて撮影しました。AFが迷いそうな状況ですが、パッと電車に合ってくれました。おかげで、撮りたかった画をおさめられました。
TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD(Model A071)を使用してみて
28-200mm F2.8-5.6は、完全に私の高倍率ズームレンズのイメージを覆してくれました。撮れた写真は色も画質もよく、自分の作品として残したいと思えるようなものばかりでした。小型軽量で機動力も高いので、どんなシーンにも躊躇なく持ち出せます。Eマウントのはじめてのレンズを探している方へ、「まずはこれ!」と自信を持っておすすめしたいです。また、幅広い焦点距離が作品のバリエーションをぐんと増やしてくれるので、普段単焦点レンズを多く使われる方にも、新しい発見をたくさんもたらしてくれると思います。
写真家プロフィール

大村 祐里子 Yuriko Omura
写真家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒。クラシックカメラショップの店員を経て、写真の道へ。福島裕二氏に師事後、撮影のほか、雑誌・書籍・Webでの執筆など、さまざまなジャンルで活動中。趣味はフィルムカメラを集めて、使うこと。
【写真家サイト】
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TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD(Model A071)
これまでタムロンが培ってきた高倍率ズームレンズの技術力やノウハウを注ぎ込み、ソニーEマウント用の28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)は誕生しました。高倍率ズームとしては世界初となるF2.8スタートの明るさを確保。広角端28mmから望遠端200mmにいたるズーム全域においても高い描写性能を実現します。
タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)プロモーションムービー
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