写真家 大村 祐里子氏がタムロン SP 24-70mm F2.8 G2 (Model A032)で撮影する雪の東京

私は、作品撮りに持って行くレンズは必ず一本と決めています。なぜなら、その方が撮影に集中できるからです。

先日、東京に大雪が降りました。天気予報を見た段階で、その日作品撮りへ行くことに決めていたのですが、どのレンズを持って行くか悩みました。足場が悪い中、寄った画も引いた画も撮れるレンズ……と考えたときに、頭の中に浮かんだのがSP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2 (Model A032)でした。

早速、EOS 5D Mark IV にSP24-70mmを付け、それだけを持って雪の東京へ繰り出しました。

家の近くで草木に降り積もる雪を撮影した瞬間に「あ、この感じ、好き」と思いました。このレンズがあれば今日は絶対に大丈夫だ。そう確信しました。良いレンズというものは、不思議と最初の数枚でそのように感じさせてくれるのです。

一枚目の写真( 焦点距離:70mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:200)

家の近くで、草木に降り積もる雪を撮影しました。雪の降り始めの、静けさとあたたかさのようなものが混ざった空気を捉えることができました。

雪景色の奥行き感を表現できるやさしいボケ味

個人的に、雪を撮るとき大切にしているのは「奥行き感」です。雪は景色全体を白で包んでしまうので、どうしても画がのっぺりと平面になりがちです。だから、雪を撮るときはあえて奥行き感を出して、画が立体的に見えるように工夫しています。

今回は、SP24-70mmの大口径ならではのボケ味が、草木に積もった雪や、降りしきる大きな雪の粒の「奥行き感」の表現を可能にしてくれました。

「背景をもっとボカしたいな」「手前だけ雪の粒をもっと大きく写したいな」と思ったときに、F2.8まで絞りを開けられて、とても心強かったです。

さらに、SPシリーズの特徴である「カリカリになりすぎない、やさしい描写」が、雪のふんわり感をよりアップさせてくれたように思います。

焦点距離:62mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:200

草木にしんしんと降り積もる雪を撮影しました。絞りを開放にして手前と奥を大きくボカし、画に奥行き感を出してみました。

焦点距離:57mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:400

森をバックに、本降りになってきた雪を撮影しました。絞りを開放にして、手前は大きく、向こう側は小さく、と、雪の粒の大きさをコントロールしました。

焦点距離:56mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:400

最短撮影距離まで寄って、雪景色をバックに枯葉を撮影してみました。0.38mまで寄れるので、背景を大きくボカした大胆なクローズアップも可能なのが嬉しいです。

視界が悪い中でもノーストレス

SP24-70mmを使っていて驚いたことは、AFの精度がとにかく高い点です。降りしきる雪の向こう側に佇む被写体にも、瞬時にピントを合わせてくれました。普段の撮影だと、視界が悪い場所ではAFがうまく合わずイライラすることもあるのですが、SP24-70mm はAFに関してノーストレスで使用することができました。

焦点距離:64mm 絞り:F/3.5 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:400

池を泳ぐ鳥を撮影しました。視界の悪い中でも、動き回る鳥に瞬時にピントを合わせることができました。

焦点距離:46mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:400

建物の向こう側で一瞬立ち止まった人物をシルエットで撮影しました。高いAFの精度のおかげで、シャッターチャンスを逃さず済みました。

暗くても安心して手持ち撮影が可能

暗くなってからの撮影で大活躍したのが、手ブレ補正機構「VC(Vibration Compensation)」。5段分の手ブレ補正効果はとにかく偉大です。このサイズのレンズで、1/15くらいまで手持ちでブレずに撮影できるのは衝撃的でした。えっ、こんなに低速でも大丈夫なの?と逆に不安になってしまうくらいでした。

焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:200

東京タワーの上から、雪が降り積もった街並みを俯瞰で撮影しました。感度を上げたくなかったので、ISOは200にして、シャッタースピードを1/15まで落としました。

焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:800

雪の中、あやしく光る東京タワーを下から撮影しました。普段は手ブレを恐れて1/125以下でシャッターを切ることはほとんどないのですが、今回はVCへの信頼感から、夜は低速でシャッターを切ってばかりでした。

驚異のタフさ!吹雪の中でもへっちゃら

夜の深まりとともに、雪の降り方は激しさを増していきました。半ば吹雪の中シャッターを切っていたので、レンズの前玉には雪がびっしりと……。フィルターを付けていなかったので通常であれば発狂モノなのですが、SP24-70mmの前面のレンズには防汚コートが施されているので、サッと拭くだけでレンズはすぐにクリアに。この日は、雪がつく→拭き取る→雪がつく→拭き取るを繰り返していました。また、簡易防滴構造のおかげでレンズ内部に雪が入ることもなく、家に帰ってから少しレンズを拭くだけでお手入れを済ませることができました。こんなにも、レンズのタフさをありがたいと思ったことはありません。

焦点距離:46mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:800

吹雪の中、街を歩く人を撮影しました。レンズにも雪が付着してしまいましたが、防汚コート・簡易防滴構造のおかげで、自分の撮りたいイメージを優先して撮影に臨むことができました。

TAMRON SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2を使用してみて

「作品撮りに持って行くレンズは必ず一本と決めて」いる私が、雪という、東京ではなかなか巡りあえないシチュエーション下での撮影に「持ち出したい」と思ったことは、自分でも衝撃でした。

SP24-70mmは、それほど描写と操作性に信頼が持てるレンズです。大事な局面を「任せられる」レンズ、と言ったほうが良いかもしれません。出会った瞬間から、私の大切な存在になったSP24-70mm。「出会ったときから結婚を意識しました」というカップルの気持ちがわかる、今日この頃です。

写真家プロフィール

大村 祐里子 Yuriko Omura

写真家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒。有限会社ハーベストタイム所属。雑誌・書籍での執筆やアーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。

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