写真家 川村 容一の超望遠高倍率ズーム18-400mm1本で挑んだ冨岡八幡宮水かけ祭り

東京・深川で行われた、冨岡八幡宮の5日間にわたる祭礼の撮影を引き受けました。日ごろ商品撮影をメインにしているので、本格的な祭りの撮影は概ね30年ぶりとなります。今回は3年に一度の本祭りで、周辺の町会の神輿が50基以上集まり、真夏の下町を連続して渡御(とぎょ)します。時間にして6時間以上、距離も8キロを超えます。担ぎ手を支えるのが各所で行われる「水かけ」です。私もかぶりましたが、助かります。もしかぶらなかったら熱中症で倒れていました。

今回の撮影依頼は神輿の連合渡御と厳かに行われる神事、5日間のすべての記録でした。そして、やはり山場は勇壮な神輿への水かけ場面です。その厳しい環境の中で、どんな撮影機材で臨むかは、重要課題でした。ちょうど18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD(Model B028)という目的にぴったりなレンズを初めて使うことができました。

一枚目の写真( 焦点距離:27mm 絞り:F/10 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:400)

ゴール間近で担ぎ手はますます熱くなる。真夏の深川神輿は、水かけが嬉しい。

焦点距離:100mm 絞り:F/9 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:400

大量の水が掛けられるシーン。程よい圧縮効果で神輿と水が浮き上がって表現できました。

焦点距離:170mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:200

狙って写した1枚。ファインダーを覗いている間も手ブレ補正が効いているので、ブレがなくストレスが少ないのです。

焦点距離:370mm 絞り:F/9 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:400

担ぎ手の女性のアップを狙いましたが、望遠域でも手ブレ補正のおかげで快適に被写体をとらえ続けられました。

焦点距離:29mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:400

地元の消防団も水かけに大活躍。祭りの記録は神輿のアップだけではありません。構図が大きく変えられるのは現場で助かります。

焦点距離:58mm 絞り:F/10 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:200

急に起きたハプニングでも高倍率ズームは決定的瞬間を逃さない。

焦点距離:75mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:400

早朝からもうずぶぬれ。これから8キロの道のりを担ぎます。望遠で素敵な表情に迫りました。

焦点距離:270mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:400

深川は堀と橋の町。隣の橋を渡る神輿を撮影。固定された場所からでもレンズ交換なしに引きとアップの両方が素早く撮影できました。

焦点距離:44mm 絞り:F/10 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:400

脚立の上から反射的にシャッターを押しました。集団の中で子供の表情が光ります。

焦点距離:185mm 絞り:F/6 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:800

薄暗くなり始めた境内にて。舞台を撮影中に、私の手前の女性が視野に入りました。すぐさま構図を変えて撮影。落ち着いた雰囲気の1枚です。近距離でも、諧調が広く質感描写がしっかりしています。

焦点距離:170mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:400

大混雑で、走って行ったら間に合いません。こんな時でも高倍率ズームは頼りになります。境内の階段を下りてくる御神輿。。

焦点距離:300mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:800

子供神輿は初日に町内を回ります。急な出現で慌てて追いかけましたが、そこは狭い路地。おおよそ画角を決めて、高くカメラを持ち上げて撮影。3枚撮ったうちの1枚です。

焦点距離:58mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:3200

神輿の宮入りは夜まで続きます。このズームはギリギリのフレーミングもとっさにできて、点光源があっても暗部の描写がしっかりしています。

TAMRON 18-400mm F3.5-6.3 Di II VC HLDを使用してみて

不意にやってくるシャッターチャンスに素早く対応できて、自分が動けない場所にいてもフレーミングの自由度が高く、レンズ交換をしなくて済むため、落下やカメラ内への異物の侵入も防げます。今回、これらの条件は見事にクリアーし、夜になってからのスローシャッターでの手ブレ補正効果も大きく、神事の際もAF作動音は静かで気兼ねなく撮影できました。加えて、コンパクトで手に持った感触がとても良かったことが、素晴らしいショットを多く残せたことになりました。単焦点レンズでじっくりボケ味や画質を突き詰めるのも良いのですが、決定的瞬間を取りこぼさず、最適な画角で切り取る18-400mmは最適な選択でした。

なお、水かけや雨天の日もありレンズは多少は濡れましたが、タオル1本と帰宅後の保管庫への収納で、全く問題なく働いてくれました。

写真家プロフィール

川村 容一 Youichi Kawamura

1959年下町の荒川区に生まれる。スタッフカメラマンとして勤務時は様々な被写体を追う日々が続き、フリーとなってから商品、インテリア、人物、資料館所蔵品の撮影などが多い。現在は写真教室講師、レビュー記事の執筆も行う。バイクと猫と和菓子が好き。(公社)日本写真家協会会員 2012年個展「葛飾小菅、昭和のある町」、グループ展多数

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