フォトグラファー 北村 佑介氏がタムロン17-70mm F2.8 (Model B070)ソニー Eマウント用でバリエーション豊かに撮る、春の花

はじめまして。花の写真家、北村佑介です。普段はフルサイズのミラーレスカメラに中望遠の単焦点レンズを付けて花を撮っています。
今回は、タムロンから新しく発売されたAPS-Cサイズ相当ミラーレス一眼カメラ専用の標準ズームレンズ、ソニーEマウント用TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070)をソニーα6400に付けて新春の花を撮ってきました。17-70mm F2.8を使ってまず思ったのは、とにかく色々なバリエーションで花を撮ることに適しているレンズということです。
17-70mm F2.8はレンズ交換することなく、これ一本で広角域から中望遠域(35mm判換算で25.5-105mm相当)の写真を撮ることができます。フルサイズで通常の花の撮影であれば、35mm・50mm・85mm辺りを使う方も多いのではないでしょうか。それらの画角が、このAPS-C用タムロン17-70mmなら一本で撮ることができるのです。広角でも望遠でも撮りたい、けれどレンズ交換が手間で広角でしか撮らなかった、または望遠でしか撮らなかった。そんな経験、誰もが一度はあるのではないでしょうか。自分はたくさんありました。ところが、このレンズではそれがありません。
そして、すごく寄れます。これは花の写真ではとても重要なことです。最短撮影距離は広角端19cm、望遠端では39cmと十分に被写体に寄ることが出来ます。広角端でも望遠端でも寄ることができるので、それだけでバリエーションに幅を持たせてくれます。
それらだけでも充分なのですが、開放F値が通しで2.8なので引いて撮ってもボケを活かした撮影ができます。寄って撮るだけでなく、引いて花を小さく撮ることもバリエーションに加えられるため、本当に色々なバリエーションで花を撮ることができるレンズです。
普段は使わないズームレンズと焦点距離ではありましたが、使っていくうちに17-70mm F2.8ならではの写真をたくさん撮ることができました。その中からお気に入りを選んだので、ご紹介させていただきます。
一枚目の写真( 焦点距離:70mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100)
満開のポピー畑の手前にひっそりと咲いている花を撮りました。この写真のポイントは前ボケです。花の主役感を出すためには前ボケがとても大切です。前ボケに用いた葉っぱは決してボケやすい形ではなかったのですが、このように綺麗にボケてくれました。また、TAMRONのレンズは暖色系が特に綺麗に出るイメージを持っているのですが、このレンズもやはり暖色系の表現が見事でした。
イメージ通りの青空色
イメージしている青空が表現できるレンズというのは、そう多いわけではありません。17-70mm F2.8は、そんな青空を鮮やかに、そして印象的に写し出してくれます。順光で撮ると深みのある青空に、逆光で撮るとグラデーションが美しい青空に。晴れた日はついつい空を入れて撮ってしまいたくなるレンズです。
焦点距離:17mm 絞り:F/4 シャッタースピード:1/3200秒 ISO感度:100
鳥が落とした一輪の桜。近くに海があったので、青空と一緒に撮ってみました。晴れた日の気持ち良い青を見事に表現してくれました。青空の描写に目が行きがちですが、波の部分の玉ボケの形もとても美しいです。雲の輪郭を残したかったので、F4まで絞りました。
焦点距離:17mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100
少し早い春を告げてくれる満開の河津桜。青空とのコントラストがとても綺麗でした。順光で撮った時のこの深みのある青がお気に入りです。F8まで絞って撮ったのですが、花びらの一枚一枚がはっきりとわかる解像感と雲の輪郭の描写が見事です。開放での解像感も良いレンズですが、絞って撮った時はその良さがより表現できます。
焦点距離:20mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:100
夕暮れ前の光が綺麗な時間帯。逆光で透けたポピーを撮りました。逆光での空の描写は色がなかなか出せず難しいシチュエーションですが、とても綺麗に表現してくれました。グラデーションも階調豊かです。この時、広角端の撮影で余計なものが入ってしまったため、少しズームさせました。身動きしづらい場所でも構図を整えられるのはズームレンズの特権です。
花を飾る柔らかいボケ
花の写真とボケはとても密接な関係にあります。ボケは必ずなくてはいけないというものではありませんが、ボケを使うと見せたくないものを隠したり余計なものを色として使えたり、メインとなる花の主役感を出すのにとても重要なものです。17-70mm F2.8は特に開放で撮った時、花に似合う柔らかいボケを生み出してくれます。
焦点距離:69mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:320
温室の中で元気に咲いているビオラを撮りました。自分は外で撮ることがほとんどですが、形が良い花が多いので温室もおすすめです。開放F値が2.8のおかげで、薄暗い室内でもISO感度をあまり上げずに撮影することが出来ました。結構ごちゃついているシチュエーションで撮ったのですが、柔らかいボケ味のおかげで主役の花を際立たせることができています。
焦点距離:70mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:100
夕陽に照らされたノースポール。逆光で撮ったのでキラキラと輝いています。花を可愛く写すために引いて小さく撮りました。引いて撮るとボケは弱まりますが、望遠端が35mm換算で105mm、開放F値が2.8というスペックのおかげで充分なボケが得られました。手前も奥も人工物であるにも関わらず自然なボケでとらえることができました。
花にクローズアップ
普段は周りの様子を写し込みながら引いて花を小さく撮ることを基本としていますが、このシチュエーションだったら大きく写したいな、寄って背景を整理したいな、などと思うことがあります。そうした場合に備え、花を撮る時は寄れるレンズを選ぶことで大きなメリットがあります。17-70mm F2.8は広角端でも望遠端でも寄れることが大きな強みです。
焦点距離:70mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100
前ボケになる部分、後ろボケになる部分、共にごちゃついていたため最短撮影距離付近で撮りました。寄れたおかげで、気になった前後の部分を柔らかいボケで美しくまとめることができました。もし寄れないレンズだったら、花の周りの草木や背景にあった木などの形が残ってしまい花の主役感が薄れてしまったと思います。難しいとされる白い花のディテールも美しくとらえることが出来ました。
焦点距離:70mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:160
アイスランドポピーを真上から。望遠端の70mmにして、最短撮影距離付近で撮りました。望遠端で39cmまで寄ることができるので、マクロレンズ的な使い方もできてとても便利なレンズです。寄って撮っても、ピントを合わせたシベはしっかりと解像しています。
TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070)を使用してみて
機材が軽いと心も軽い!開放F値が通しで2.8。ズーム比4倍以上のレンズとなると重く大きいレンズを想像しますが、今回使用した17-70mm F2.8は525gという軽さ。非力な自分が一日中持ち歩いても苦になりませんでした。このレンズがあればレンズを持ち歩くための筋トレも必要ありませんね。手も小さい方なのですが、このレンズはサイズもコンパクトなので無理せず構えることができます。
α6000シリーズをお使いで、色々なバリエーションで花を撮りたい方におすすめの一本です!
写真家プロフィール

北村 佑介 Yusuke Kitamura
出版社勤務・埼玉県観光PRフォトグラファーを経て、ドリーミーフォトと呼ばれる花を撮るフォトグラファーとして独立。年間約100回の写真教室を中心に、記事寄稿・写真提供など全国で活動中。著書に「花をながめて大切なことに気づく100の言葉」(かんき出版)などがある。
【写真家サイト】
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TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070)
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