写真家 別所 隆弘氏がタムロン 17-28mm F2.8 Di III RXD (Model A046)で撮る沖縄・滋賀の風景

皆さん、こんにちは。TAMRONオフィシャルブログ二回目登場の別所です。前回は昨年日本のカメラ界を席巻したTAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)のレビューでした。28-75mm F/2.8は本当に素晴らしいレンズでした。私はあのレビューを書きながら、その頃すでに流れていた「タムロンは次に超広角を出すらしい」という噂のことを考えていました。そして同時に確信もしていました。「本当に出たら、それは素晴らしいレンズになるだろうな」と。
今回改めて言うことができます。TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)は、ミラーレス時代を代表する理想の超広角ズームレンズです。28-75mm F/2.8と同様、極めて軽く、取り回しがよく、絶妙のズーム域の選択で、描写にも隙がない。まったく妥協点のない素晴らしいレンズでした。それでは、作品を紹介しつつオフィシャルブログのレビューをご覧ください。
一枚目の写真( 焦点距離:20mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:100)
絶妙な画角でのパース感
一枚目の写真の沖縄の朝焼けから見てもらいましょう。
これぞ超広角!実は超広角というのは、普通に撮るとパースが付きすぎて、かえって広さがデフォルメされてしまうものなのですが(それが超広角の難しさでもあり面白さでもあります)、絶妙に使いやすい17mmから28mmという焦点距離は、何を撮ってもバランスの良いパースが付きます。上の写真は20mmですが、デフォルメされ過ぎてしまうギリギリ前のところで最高に超広角な一枚に仕上がっています。
さらに次の一枚も広大な海で、さらに広く。
焦点距離:17mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:100
頭上には恐ろしいほど巨大に荒ぶる雲が全面に出ていたので、17mmの出番です。17mmは扱いにくい画角ですが、この通り完璧にゴキゲンな超広角の出来上がり!
逆光性能の優秀さ
今回このレンズを使っていてすごく感じたのは、逆光への強さでした。フレアが出ないのは勿論、それに加えてコントラストの低下が起きにくいんですね。タムロンマジック!
焦点距離:17mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100
沖縄の海は存在自体がエモいんです。それをそのまま収めたくて、エモ散らかしてる太陽をこれでもかというくらい真正面に捉えました。にもかかわらず、地面に見えるOKINAWAの文字はコントラスト低下も起こらず、逆光のフレアも出ません。この沖縄の海をすべて完璧に記録できるわけです。
焦点距離:28mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:320
何気なく撮影したスナップの場面でも、上品なシャドウ部分の階調が、光の輝かしさを際立たせている。これ、全部17-28mm F/2.8で撮影しています。
超広角ズームのスナップ撮影
17-28mm F/2.8でスナップ撮影をしてみました。普段風景ばかり撮っている私にはスナップなんて似合わないというのは承知の上です。
焦点距離:18mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度125
焦点距離:25mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:125
慣れないスナップも撮ってみよう、なんて思ったのも、まさにこのレンズの軽さ、取り回しの良さゆえでした。レンズが軽いと、全てが軽快になります。持ち運びもそうですが、例えば猫は小さい生き物なので、僕ら人間が撮るときはかなり地面に這いつくばったり、逆に思いっきり背伸びして手を伸ばしたり、もはや曲芸みたいにして撮っています。重たいレンズだとその動作の一つひとつで体力とメンタルが削られていく。でも、私はこの猫をかっきり二時間撮影し、さらに沖縄では三日間、さっきの海辺や、街角のスナップ写真なんかを、撮りまくってきたわけです。
広角レンズなので人が映り込まないようにスナップを撮るにはやはり工夫が必要ですが、軽量・軽快な作りのために、チャンスがあったら逃さず撮れるわけです。このいかにも撮ってくれと言わんばかりの赤い壁の写真も、ちょうど柱で人が隠れているタイミングでシャッターを切りました。何気ない一瞬を逃さずに撮れるのも、このレンズの軽快さゆえです。
焦点距離:28mm 絞り:F/4 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100
焦点距離:28mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:100
焦点距離:17mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:100
最短撮影距離をいかした画作り
このレンズ、実はもう一つ「表現のオプション」があります。そう、最短撮影距離の異様な短さ。
焦点距離:17mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/1600秒 ISO感度:100
近っ!!思いっきり被写体に寄れます、その距離なんと0.19 m!後ろのボケ方の強烈さは、もはや単焦点レベルの溶け方です。しかも、背景はなめらかでうるさくない。ボケの美しさまでしっかり作り込まれています。
焦点距離:17mm 絞り:F/3.2 シャッタースピード:1/30秒 ISO感度:100
なので上のような、「スマホ手持ち街角おもしろスナップ」みたいなものも簡単にできちゃうわけです。こちら、右手にカメラ、左手にスマホをもって、自分ひとりで撮影しています。
TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)を使用してみて
ズームレンズと合わせて持ち歩きたい最高画質のレンズ
17-28mm F/2.8は、撮り手に「新しい撮り方」を可能にする、未来へ開かれた新しい超広角ズームレンズだと思います。超広角域で求められているあらゆる逆光耐性だったり、歪みの少なさといった部分は抜かりなく達成されています。一方、これまであまり大口径レンズでは重要視されてこなかったレンズ自体の軽さや、最短撮影距離の短さといった、野心的な挑戦が盛り込まれている。17-28mm F/2.8を是非皆さんに一度使ってもらいたい。
最後に、深まりつつある秋を感じる1枚を見ていただいて、このレビューも終りにしましょう。
焦点距離:26mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/20秒 ISO感度:100
僕の地元、滋賀県からの一枚を。夏の荒ぶる雲と、秋を感じる薄い雲、そして少し色が落ち着き始めた山の緑が渾然一体となった瞬間を、色も階調も最高の状態で捉えてくれました。ただ、これ、撮影したのは山の上です。そんなに長い距離ではないにせよ、息が切れる程度には登らなきゃいけない。もし重たいレンズを背負っていたら、この夕焼けには間に合わなかったかもしれないと思います。
やはりレンズの軽さは大正義です。勿論、画質を犠牲にしていたら意味がないのですが、今回のレビューでタムロンの17-28mm F/2.8は、どの部分にも妥協がないレンズに仕上がっていることが伝わっていたらいいなと思いつつ、筆を置かせていただきます。
写真家プロフィール

別所 隆弘 Takahiro Bessho
フォトグラファー / 文学研究者。National Geographic社主催の世界最大級のフォトコンテストであるNature Photographer of the Year “Aerials” 2位など、国内外の写真賞多数受賞。写真と文学という2つの領域を横断することで新しい表現領域を模索する。
滋賀、京都を中心とした”Around The Lake”というテーマでの撮影がライフワーク。
記事で紹介された製品はこちら
タムロン 17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)
フルサイズ用大口径超広角ズームレンズとしては驚きのフィルター径φ67mmを実現。軽量・コンパクトで、カメラとのバランスも良く、気軽に持ち運べ、幅広い撮影シーンに対応できるミラーレス一眼カメラ専用レンズです。
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