鉄道写真家 煙道 伸麻呂氏の鉄道冒険旅第1弾、タムロン150-500mm F5-6.7 (Model A057)でとらえる超望遠ズームの描写と魅力

こんにちは、鉄道写真家の煙道 伸麻呂です。2022年は日本で鉄道が開業して150年目となる記念の年です。そのような鉄道イヤーにふさわしい、3本の頼もしいタムロンレンズを携えて、早春の鉄道撮影旅へ出発しました。気分はまるで、頼もしい味方とともに冒険に出た桃太郎のようです。意気揚々と撮影に出かけました。その冒険旅第1弾は、超望遠ズームレンズのタムロン150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)です。
鉄道写真は超望遠が大活躍するジャンルです。コンパクトながら500mmまでの焦点域を実現したこのズームレンズは、まさに鉄道写真のために作られたようなレンズでした。超望遠には必須の手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)に加え、AF駆動はリニアモーターフォーカス機構VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)を搭載した高性能なレンズです。このレンズを一言で表現するならば「撮影者を本気にさせる気合の入ったレンズ」です。それでは150-500mm F5-6.7の素晴らしさを鉄道写真でご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください。
一枚目の写真( 焦点距離:306mm 絞り:F9 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:200 使用カメラ:ソニー α7R III)
緊張の一瞬でした。富士山は運とタイミングが重要です。この日の条件は良好で、撮影地は混雑していました。先客の邪魔にならないようノーファインダーで柵の影から手持ちで構えます。レンズの安定感を信頼して、背面モニターを見ながらの超望遠撮影です。そんなことも気軽にできる超望遠ズームレンズ。この風景にふさわしい、天晴れ!と感じたシーンでした。
TAMRON 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)
ソニー Eマウント (フルサイズミラーレス一眼カメラ用レンズ)
タムロン150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)は、望遠側の焦点距離500mmを確保しながら、手持ち撮影も可能な小型化を実現。高画質な描写性能はそのままに、超望遠500mmの世界を手軽にお楽しみいただけます。追従性に優れた高速・高精度AFと、手ブレ補正機構VCの搭載により、超望遠域での手持ち撮影をサポートします。
高速・高精度AFは鉄道写真で大活躍!
いい鉄道写真を写すためには、優秀なAF性能が必要です。僅かなピントズレも許されない世界です。150-500mm F5-6.7のリニアモーターフォーカス機構VXDは信頼できる機能です。高速・高精度な動作とともに、フォーカス追従性が非常に高く、鉄道撮影で優れたレスポンス性能を発揮しました。列車の写真はもちろん、スナップ撮影などで素早い対応を求める場面でも大活躍しました。もちろん画質はシャープでクリアです。被写体の動きに集中することができて、軽快な撮影となりました。
焦点距離:500mm 絞り:F9 シャッタースピード:1/4000秒 ISO感度:400 使用カメラ:ソニー α7R III
人気の車両といえば、やはり新幹線です。お子さんからご年配まで多くの人がカメラを向ける被写体です。しかしながら、高速の動体撮影は最難関です。加えて、超望遠撮影では高度なAF性能と繊細なフレーミングが必要です。このレンズはそれらの課題も簡単に解決してくれました。とても頼もしい相棒です。
焦点距離:410mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:1000 使用カメラ:ソニー α7R III
このようなローカル線でも150-500mm F5-6.7は活躍します。カーブの外側から列車の姿と、線路に写る光の反射を計算して、やや下向きにレンズを構えました。迫力のある姿を思い描きながら、撮影姿勢を低くして構えます。この時は日の出直後の暗い状況でしたが、強力な手ブレ補正のおかげで狙いどおりの写真が撮れました。ローカル線の朝はやはり格別ですね。
コンパクト設計の効果が織りなす、新感覚の超望遠ズームレンズ
500mmのインパクトは絶大です。その秘密はコンパクトかつ軽量に設計された部分にあります。長さ209.6mm、最大径φ93mmのスリムなレンズは、構えた瞬間のホールド感が良く、ズームリング回転角も75°と小さいため操作性に優れています。こうした特長は、手持ち撮影がメインの私にとって、機材に求める重要なポイントです。加えて優秀な手ブレ補正機構VCのおかげで、日中は三脚不要と言っても良いレベルです。まるで中望遠レンズを扱うような感覚で、500mmの世界が手に入りました。
ただし、超望遠レンズにとっての天敵となるのが強風です。今回は春一番が吹く季節に撮影したため、これには難儀しました。そのような逆境でもこのレンズは負けません。手ブレ補正モードを[モード1:通常]から[モード3:フレーミング重視]へ変更すると、安定した構図で構えることができました。驚くほどの安定感が得られます。このレンズはどこまでも撮影者の味方です。一歩先の世界を表現してくれる、とても魅力的なレンズです。
焦点距離:500mm 絞り:F9 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:800 使用カメラ:ソニー α7R III
500mmのレンズで一度撮影してみたいのは、やはり望遠圧縮効果を活かした写真です。急カーブをゆっくりズイズイと登る列車はスイッチバックへと進入します。こちらの旧型車両は鉄道ファンにとても人気があります。鉄道写真で一度は撮ってみたい光景です。とても迫力のある姿ですが、こちらは駅のホームから安全に撮影しました。超望遠ズームが本領発揮する場面です。
焦点距離:356mm 絞り:F9 シャッタースピード:1/1600秒 ISO感度:2000 使用カメラ:ソニー α7R III
150-500mm F5-6.7は、もちろん普通の鉄道写真も撮影できます。鉄道ファンにはお馴染みのDD51ディーゼル機関車が牽引する臨時列車を撮影しました。どの焦点域でも被写体がシャープに写ります。フロントデッキのチェーンもくっきりと解像しています。創作的な写真から標準的な写真まで、あらゆる作品づくりをサポートしてくれる、実にオールマイティーなレンズです。
焦点距離:447mm 絞り:F9 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:400 使用カメラ:ソニー α7R III
次は同じDD51ディーゼル機関車の停車している姿をスナップ撮影しました。出発を待つ緊張感を表現したくて、やはり長い焦点域を選びました。先ほどと同じように各部品もしっかりと描写されています。少しマニアックな角度でねらいましたが、私のこだわりにしっかりと応えてくれました。超望遠ズームを使うと、こうした緊張感が表現しやすくなります。
好奇心が刺激され、もっと冒険したくなるレンズ
これだけ優秀なレンズに出会うと好奇心がどんどん刺激されます。「あの場所はどう写るだろう」とか「今日はいつもと違う写真を撮ってみたい」と考えるのも、軽くて優秀なレンズのおかげです。機動力は良い写真を生み出します。童謡 『汽車』の歌詞に、「いまは山中、いまは浜、いまは鉄橋渡るぞと~」、とあるように様々な場面が頭の中に浮かびます。このレンズなら流し撮りもシルエットも自由自在です。いい写真を撮るコツは、思い立ったら即行動に移すことです。150-500mm F5-6.7なら、好奇心を刺激する旅の良いお供となります。みなさんならこのレンズでどのような世界を写すでしょうか。
焦点距離:463mm 絞り:F10 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:800 使用カメラ:ソニー α7R III
「思う間もなくトンネルの~」と続く童謡の歌詞になぞらえて、トンネル越しの列車を撮影しました。カーブが多い山間部もなんのその。今日も特急は元気に駆け抜けてゆきます。ローアングルでカーブを強調してみました。また、トンネル越しに狙うことで額縁効果が生まれた作品となりました。陽炎のない寒冬で挑戦したい場面です。
焦点距離:500mm 絞り:F11 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:1000 使用カメラ:ソニー α7R III
好奇心に駆られてトライしたのは500mmの流し撮りです。都内の有名な展望階から新幹線を狙います。超望遠の低速シャッター撮影は繊細な動作が必要です。私も覚悟を決めて500mmでフレックスズームロック機構をセットしました。何本か新幹線を撮影し、しっかりと決まったお気に入りの写真です。今回撮影した中でも思い出に残る一枚です。
焦点距離:287mm 絞り:F14 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:800 使用カメラ:ソニー α7R III
次は懐かしのブルートレインを撮影しました。といっても今は動かない保存車両です。望遠ズームの素晴らしいところは、現実世界を超越して自分のイメージを表現できることです。国鉄車両に使われている独特のレタリングにもさりげない趣があります。ここではあえて長めの焦点域を使い、往年の雰囲気を感じられるよう工夫しました。150-500mm F5-6.7は、思い描く世界を自由自在に表現できる魔法のレンズです。
焦点距離:500mm 絞り:F6.7 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:160 使用カメラ:ソニー α7R III
蒸気機関車はすべての鉄道ファンにとって憧れの存在です。私の撮影スタイルは手持ちが基本なので、一回の撮影で最低3カットは狙った写真を撮影します。この場所は見通しの悪い場所で、必ず機関助手が前方確認すると知られています。わずか2秒間の出来事です。焦点距離500mmでの勝負で、何度も通った場所でないと見逃してしまう瞬間です。
焦点距離:206mm 絞り:F5 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:200 使用カメラ:ソニー α7R III
姿勢を低くして菜の花越しに機関車を狙い、ノーファインダーで構えて撮影した1枚です。フォーカス機能が優秀だったので、画面奥のナンバープレートにスッと合焦しました。実力派レンズにふさわしい、良好なボケ味を感じられる場面でした。春の訪れを表現した、望遠ならではの風景です。
焦点距離:266mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100 使用カメラ:ソニー α7R III
いまではほとんど見られない、懐かしのタブレット交換風景を150-500mm F5-6.7で切り取りました。タブレット交換は、単線路線での衝突を防ぐために行われる方式です。自分の中にあるイメージを強く表現するために超望遠は必携で、こちらも地面スレスレの高さからローアングルで撮影しています。このレンズで瞬間を捉える性能はピカイチです。撮らせていただいてありがとうございます、という思いで撮影しました。
TAMRON 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)を使用してみて
今回は150-500mm F5-6.7で鉄道写真の旅を存分に楽しみました。いかがでしたでしょうか。これまで500mmレンズといえば、特殊領域の世界という印象が強かったのですが、ここまで日常的に使える超望遠ズームレンズには驚くばかりです。軽すぎないくらいの丁度良い重さが500mmでの安定感につながっていると感じました。何よりも、カメラバッグに入れて持ち歩くときにコンパクトな設計は非常に助かりました。バッグに余裕ができ、もう一本レンズを入れてもいいくらいです。フットワークを重視する手持ち撮影派の私にとって、待ち望んでいた高性能レンズでした。
私のような欲張り写真家にも優しいレンズで、全焦点域で解像力が高く、鉄道写真との相性は最高でした。オリジナリティーが溢れるような超望遠の世界を撮影した作品で、フォトコンテストへ挑むのもいいですね。撮影者の意気込みにも頼もしく応えてくれるレンズです。150-500mm F5-6.7は、鉄道写真ライフをあざやかに彩る、実に画期的な一本でした。
写真家プロフィール

煙道 伸麻呂(遠藤 真人) Endo Nobemaro (Masato Endo)
日本大学芸術学部写真学科卒業、日本写真学会 正会員 NPS会員、第3回タムロン鉄道風景Instagramコンテスト2021 審査員、EIZO ColorEdgeAmbassador。鉄道会社の公式撮影のみならず、行政や民間団体の講師の他、写真コンテストの審査、機材レビューの執筆など多岐にわたり活動する。蒸機の美姿を追い求めたライフワーク「煙道」は根強いファンが多い。軽快な話術とウィットに富んだ表現が魅力。写真集「いすみ鉄道 キハ52 125 写真集 Isumi Pride Vol.1」をクラウドファンディングで出版。WEB3.0時代を見据えた写真系NFTへも取り組む。
【写真家サイト】
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TAMRON 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)
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