星景写真家 北山 輝泰氏がタムロン11-20mm F2.8 (Model B060)で撮影する、美しい夏の星空

星景写真家の北山輝泰です。今回は、6月に発売されたAPS-Cサイズ対応のソニー Eマウント用レンズのタムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)を使って、夏の星空を撮影してきました。夏の被写体と言えば天の川が有名ですが、広角から標準まで1本でカバーできるこのレンズで、どのような天の川を撮ることができるのか、撮影前からワクワクが止まりませんでした。今回使用したカメラボディは「α6600」と「α7S III」の2機種です。それではご覧ください。

一枚目の写真( 焦点距離:20mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:15秒 ISO感度:1600 使用カメラ:ソニー α7S III)

天の川撮影がひと段落した朝方の薄明の時間、遠く見える浅間山から昇る朝日を迎えるまで、刻一刻と変わる空のグラデーションを楽しみながら夢中でシャッターを切りました。夏の明け方にはもうすでに冬の星座たちが昇り始めており、季節の移ろいの早さを実感する瞬間です。

TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)

ソニー Eマウント (APS-Cサイズミラーレス一眼カメラ用レンズ)

タムロン11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)は、大口径F2.8でありながら小型なため、コンパクトなAPS-Cサイズミラーレスカメラボディとのバランスも良く、普段使いの超広角ズームレンズとして最適です。また、広角側の最短撮影距離は0.15mで、ワイドマクロの世界をお楽しみいただけます。

11-20mm F2.8は、広角から標準まで様々な撮影を楽しめる、まさに星景向きの一本

星景写真は、一般的に広角レンズを使って撮影します。それは、画角が広い方が星空と風景を同時に写しやすくなるためです。今回取り上げる天の川は、夜空の広範囲に広がっている被写体のため、まさに広角レンズ向きの被写体ですが、それ以外にも春の大曲線、北極星を中心とした日周運動、冬のダイヤモンドなど、広角で撮影すると面白い星空は季節を問わず多くあります。11mmは、35mm判換算で16mmと広い画角をカバーすることができるため、広角が欲しいシーンで活躍すること間違いなしのレンズです。

焦点距離:11mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:15秒 ISO感度:3200 使用カメラ:ソニー α6600

夏の風物詩である、富士登山者の灯りです。昨年はコロナ禍の影響で開山しませんでしたが、今年は多くの登山者が訪れました。今回は富士山の北側から撮影し、南中する天の川と一緒に撮影をしました。さらに広角11mmで手前の青々とした風景を一緒に写し込み、夏らしさを画面いっぱいで表現しています。
※南中:天体が真南にくること。

焦点距離:11mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:15秒 ISO感度:1600  使用カメラ:ソニー α6600
(連続で撮影した82枚を比較明合成)

カメラを北極星の方に向けインターバル撮影したものを比較明合成しました。広角11mmで撮影することで、北極星を探す目印の星座であるカシオペヤ座とおおぐま座の北斗七星を一緒に写すことができます。比較明合成の定番とも言える構図ですが、快晴の日にはぜひ挑戦していただきたい作品です。
※比較明合成:複数枚のカットでピクセルごとの明度を比較し、明るいほうのピクセルを採用して1枚に合成する方式。

少し変わった星景写真に挑戦してみたいと思った場合は、焦点距離を変えて撮影してみることをお勧めします。標準域の画角は、星空と風景を広くとらえることはできませんが、代わりに特定の被写体をクローズアップして撮影することができますので、よりテーマ性がはっきりした星景写真を撮ることができます。例えば、惑星や恒星の明るさを際立たせた作品や、星座のギリシャ神話を調べ、そのストーリーにマッチした風景と一緒に撮るなど、楽しみ方は色々です。

焦点距離:17mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:8秒 ISO感度:3200 使用カメラ:ソニー α7S III

夏の夜空の中でもひときわ明るく輝く、木星と土星をクローズアップして撮影しました。広々とした草原を自由に動き回るポニーや、八ヶ岳、蓼科山などの山並みを一緒に写し込むことで、星の要素が少ない場面でしたが、情景豊かに切り取ることができました。

焦点距離:20mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:15秒 ISO感度:2000 使用カメラ:ソニー α6600

天の川の中心部分とさそり座の頭部をクローズアップして撮影を行いました。先ほどの広角の作品が風景の広がりを意識していたのに対し、こちらの作品は天の川の存在感を全面に出しています。11-20mm F2.8はフィルター径φ67mmのフィルターを取り付けることができるため、星空が主体の作品は、ソフトフィルターを併用してメリハリをつけるのも良いでしょう。

APS-Cサイズのカメラ、フルサイズのカメラ、両方で楽しめる11-20mm F2.8

11-20mm F2.8はAPS-Cサイズのミラーレスカメラ用に開発されたレンズですが、フルサイズミラーレスカメラでも撮影を楽しむことができます。その場合は、メニュー画面の「APS-C/Super 35mm」の項目の「マニュアル時のAPS-C S35 撮影」を「入」にすることで、画像の周辺がケラれることなく撮影することができます。

焦点距離:11mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:8秒 ISO感度:3200 使用カメラ:ソニー α7S III

美ヶ原高原にて撮影した南中する天の川と美しの塔の作品です。あえて人を構図の中に入れることで、塔のスケール感を表現しています。フルサイズのAPS-Cモードを使用して撮影を行なっていますが、画素数が多いフルサイズカメラであれば、解像感などを気にすることなく撮影することができます。

焦点距離:11mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:15秒 ISO感度:3200 使用カメラ:ソニー α7S III

美ヶ原高原にある牛伏山への登山道の途中で、昇るカシオペヤ座と雲間のアンドロメダ銀河を撮影しました。11-20mm F2.8は小型・軽量のレンズなので、旅行や登山などにも気軽に持ち運ぶことができます。広角レンズを持っていきたいけど、リュックの中身を少しでも軽くしたいといった場合に、最適なレンズと言えます。

タムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)を使用してみて

11-20mm F2.8を初めて持った時に、まずその軽さにびっくりしました。私は登山や徒歩で長距離移動を行いながら星撮影をするスタイルなので、この軽さは大変ありがたいです。また、星景撮影で一番使う広角から標準までの画角をしっかりカバーしつつ、F2.8通しということで、国内外問わず、あらゆるシーンで使い勝手が良いレンズという印象です。手が届きやすい価格でもありますので、これから星景写真を始めたいと思っている方にも積極的に勧められるレンズです。

写真家プロフィール

北山 輝泰 Teruyasu Kitayama

1986年東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、福島県に移住し天文インストラクターとなる。その後、天体望遠鏡メーカーに転職し、営業マンとして7年勤務したのち、星景写真家として独立する。山梨県富士山麓を主なフィールドに星景写真を撮影しつつ、オーロラや日食などの様々な天文現象撮影を行うため、海外遠征も積極的に行なっている。現在は、天文雑誌「星ナビ」ライターや、アストロアーツ天文講習会の講師、ソニーαアカデミーの銀座校、大阪校講師などを務める傍ら、自身でも星景写真ワークショップの企画、運営などを行なっている。

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TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)

ソニー Eマウント (APS-Cサイズミラーレス一眼カメラ用レンズ)

タムロン11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)は、大口径F2.8でありながら小型なため、コンパクトなAPS-Cサイズミラーレスカメラボディとのバランスも良く、普段使いの超広角ズームレンズとして最適です。また、広角側の最短撮影距離は0.15mで、ワイドマクロの世界をお楽しみいただけます。

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