夜景写真家 岩崎 拓哉氏がタムロン100-400mmで撮る川崎・横浜の工場夜景

工場夜景撮影の現場では、およそ半数以上の作品を望遠レンズで撮る機会が多く、これまで70-300mm F/4-5.6 Di VC USD をメインで使っていましたが、300mmの望遠でも時々、望遠側が足りないシーンがあり、400mmのアドバンテージを思い知らされました。普段から工場夜景の撮影に出掛けるときは、カメラバッグに広角レンズ・標準レンズ・望遠レンズの3本を入れ、重量感のある丈夫な三脚を持ち歩くため、どうしても荷物の総重量が気になってしまいます。しかし、工場夜景撮影のメインとなる望遠レンズ選びには妥協したくありません。TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD(Model A035)を手に取ったとき、まず驚いたのがレンズの軽さ。1,135g(キヤノン用)の重量は、数値以上に軽く感じ、おかげでフットワーク良く、一晩でたっぷりの工場夜景スポットを巡ることができました。

一枚目の写真( 焦点距離:161mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード6秒 ISO感度:200)

川崎で最も有名な千鳥町の貨物ヤード手前で撮影。週末にもなると、カメラと三脚を持った写真愛好家や観光バスツアー客で賑わいます。作品は貨物線の線路を入れた定番の構図ですが、標準レンズで撮ると空が大きく写り込んでしまい、全体的に物足りない構図になることが多いのですが、望遠レンズで写すことで、画面いっぱいに工場や線路を写し込めます。また、あえて絞りを開放寄りに設定することで、手前の線路をきれいにボカし、遠近感も表現しています。

人気の川崎エリアで迫力ある工場夜景を撮る

川崎と言えば全国屈指の工場夜景エリアで、中でも東扇島・千鳥町は工場夜景バスツアーでも定番のルートとなっており、車を持っていなくても、路線バスでのアクセスもしやすいエリアです。東扇島周辺は物流倉庫が多く、遠くに見える千鳥町や浮島町の工場がメインの被写体となるため、特に望遠レンズが欠かせないエリアです。千鳥町は比較的撮影場所から工場が近いため、標準レンズでも撮影できますが、望遠レンズを使うことで、より迫力ある工場夜景写真が撮れます。特に水江町は工場に近寄っての撮影が困難で、運河の手前などに撮影スポットがあるため、望遠レンズがあれば、工場との距離感をうまくカバーできます。

焦点距離:100mm 絞り:F/9 シャッタースピード:0.6秒 ISO感度:400

トワイライトタイムと呼ばれる空にほんのり青みが残り、自然のシルエットと共に街明かりが浮かび上がる、夜景が最も美しい時間帯。作例はデッキの足元を照らすフットライトをアクセントに、遠くに見える製油所や化学工場を写しました。普段は広角~標準レンズで撮ることが多いロケーションですが、広角~標準レンズでは離れた工場が小さく写ってしまうため、工場を引き寄せるためにも望遠レンズは欠かせません。

焦点距離:125mm 絞り:F/9 シャッタースピード:20秒 ISO感度:200

千鳥町にある化学工場のプラントを画面いっぱいに写しています。縦横に無数にある配管の隅々までシャープに写っています。工場は下から見上げるような構図が一般的ですが、少しでも正面から見ているように写すため、三脚側のエレベーターを最大限上げています。レンズの筐体がコンパクトなこともあり、エレベーターを上げた状態での20秒間の長時間露光でも、風の影響を受けにくく、ブレの無いきれいな写真が撮れました。

焦点距離:143mm 絞り:F/9 シャッタースピード:6秒 ISO感度:400

同じく貨物ヤードの周辺から化学工場を撮影。配管の並びや見え方は数メートル歩くだけで変化が大きく、カメラとレンズを首にぶら下げて、移動しながら構図を決めましたが、レンズが軽量なおかげで重量感も無く、カメラや三脚を持っての移動も非常に楽でした。作品は右側の水蒸気が写り込んでいますが、風向きで水蒸気の流れが変化するため、同じ構図でも複数枚撮っておくと安心です。

焦点距離:400mm 絞り:F/8 シャッタースピード:9秒 ISO感度:400

千鳥町から、1km近く離れた水江町の製油所を400mmで撮影。水江町まで入ってしまうと、工場の間近で撮影できる場所がほとんど無いため、400mmクラスの望遠レンズがあると、遠くの離れたエリアからでも、工場を画面いっぱいに写せます。周囲は電線や構造物が多かったため、なるべくこれらの障害物が写り込まないポイントを、歩きながら見つけました。

焦点距離:137mm 絞り:F/10 シャッタースピード:8秒 ISO感度:400

千鳥町と夜光を結ぶ千鳥橋の歩道から撮影。遠くに水江町のプラントが見渡せ、300~400mmの焦点距離で写すと画面いっぱいにプラントが写り込みますが、歩道周辺は大型トラックの通行で足元が常に揺れているため、ブレを抑えるためにも広角寄りで撮影。運河に反射する工場の明かりも写し込んでいます。

焦点距離:174mm 絞り:F/11 シャッタースピード:15秒 ISO感度:200

水江町の製油所のプラントを、画面いっぱいに写るよう撮影しています。煙突から出る炎を構図から外して写していますが、炎の出るタイミングや大きさによって、工場が炎で照らされて色味が変化するので、タイミングが重要なシーンとも言えます。ホワイトバランスを「太陽光」に変えて、赤みを強めています。

望遠レンズの描写や焦点距離で作品性が決まる横浜エリア

川崎での工場夜景撮影を終えた後は、横浜の磯子・本牧エリアに移動。横浜には日本最大級の製油所があることで知られます。横浜は川崎に比べて、工場と撮影スポット間の距離はさらに大きくなり、望遠レンズの描写性能や焦点距離を含む性能面で作品性が決まると言っても過言ではありません。画角の切り取り方で川崎の工場夜景スポット以上に、タムロン100-400mmの焦点距離を活かせるシーンが多いように感じました。

焦点距離:400mm 絞り:F/10 シャッタースピード:10秒 ISO感度:200

製油所の前に停泊するタンカーを撮影。暖色系の灯りをより赤く見せるため、ホワイトバランスは「くもり」に設定して撮影。船の「NO SMOKING」や「SAFETY FIRST」などの文字もくっきり見えています。水面に反射したオレンジ色の灯りもきれいに写り込んでいます。

焦点距離:281mm 絞り:F/9 シャッタースピード:15秒 ISO感度:200

製油所の最も明るいプラントを探して、プラント群が画面いっぱいに入るように撮影。あえて、ホワイトバランスを色温度2500Kまで下げて青みを強調し、SFや近未来の空間にいるかのような、世界感を表現しました。より望遠寄りに写した方が、工場が迫力あるように見えますが、水面に反射している工場の明かりも美しいため、あえて、少しだけ引いて撮っています。

焦点距離:300mm 絞り:F/9 シャッタースピード:1/10秒 ISO感度:200

製油所のガスタンク群を手前にプラントと一緒に撮影。左右両側に大きな煙突を入れ、空の隙間が目立たないよう構図に工夫を持たせました。細々とした配管類や文字も驚くほど鮮明に写っており、シャープな写りに感動しました。

TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USDを使用してみて

一般的に工場の一部分をアップで撮る際、強い光源が写り込むことで、レンズによってはゴーストが目立ってしまうこともありますが、タムロン100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USDはゴースト耐性が非常に高く、光源を無理に画面から外して、不自然な構図になってしまうような心配もありませんでした。

また、「夜景=暗い場所」というイメージからF値の明るいレンズが好ましいように思われますが、三脚を立てて絞っての撮影シーンが多いため、開放絞り値がF4.5でも十分な明るさで、夜景撮影においてはむしろコンパクトさや重量の方がポイントになります。AFのスピードや精度も高く、作例は全てAFで撮影していますが、暗いシーンであっても、安心してAFでのピント合わせができました。陸地で工場夜景を撮る時は、三脚を使うシーンがほとんどで、あえて手持ちで工場夜景を撮るシーンは少ないのですが、足元が揺れる船上での工場夜景撮影や、スナップ感覚での手持ち夜景撮影に4段分の手ブレ補正機構「VC」は、高い手ブレ防止効果が期待できます。工場夜景撮影のメインレンズとして、大きな力を発揮してくれそうです。

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写真家プロフィール

岩崎 拓哉 Takuya Iwasaki

1980年大阪府生まれ。神奈川県川崎市在住。法政大学経済学部卒。
日本三大夜景の神戸・摩耶山、長崎・稲佐山の夜景に魅了され、2003年より夜景写真家として活動。これまでに国内外2,000ヶ所以上で撮影。
現在は自治体・旅行会社が主催する夜景撮影ツアーの講師、メディア出演などに力を入れている。

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