
【.Frame】vol.9 鈴木 悠介×TAMRONポートレート「Passing by」
記憶の片隅に点在するのは、在りし日の時間です。写真が記憶との架け橋となって、断片的にもあの光、あの声、匂い、温度まで手を握って連れ出してくれます。姿形が変わっても、在りし日にそこにいたという証明が、どこかで気持ちを救ってくれているということを感じます。
高解像度の写真や映像があふれる世界の中で、過去を振り返る手段として写真を見たとき、脳を巡る追憶の中で見えてくるものは果たして鮮明なのでしょうか。
「.Frame」連載の最後は、『写真と自己と今』を見つめます。
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/100秒 ISO:500
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 SS:1/80秒 ISO:200
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/100秒 ISO:200
写真は、人それぞれの立場や環境など見る角度によって感じ方が異なるということが素敵だと思っています。
100人の写真家がいれば100通りの考え方があっていいと思います。足並み揃えてみんなが同じことを言っても面白くない。
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 SS:1/50秒 ISO:200
ただ、文字通り『写真が真実のみを写すものではない』ということもあるかと思います。
たとえば、芸術的な要素を含む写真であるならば、それは「表現」となり真実だけが表現とはならないこともあるからです。
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 SS:1/80秒 ISO:200
そういった写真表現の魅力に強く引かれた私は、写真で「真実のみを写す」という楽しみ方はしていないように思います。
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/60秒 ISO:250
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/60秒 ISO:250
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/100秒 ISO:250
撮影も、もちろん作品撮りか仕事かにもよりますが、作品撮りであれば誰かのためにではなく自身のためにひたすら撮っていて、自分以外の人を意識して撮影することは意図的な撮影以外ありません。
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/80秒 ISO:200
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/160秒 ISO:400
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/125秒 ISO:400
ただし、写真家としての私の写真を見て、第三者がいろんな気持ちになってもらえたり、何か熱い思いが届けられたとするならば、それはこの上ない喜びです。
様々な手法で多くの写真が世界に向けて発信されている中で、目を留めてもらうだけでも奇跡に近いことでもありますし、本当に嬉しいです。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 SS:1/125秒 ISO:200
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 SS:1/125秒 ISO:200
以前より抱いていた思いとして、SNSを含めた写真作品のアウトプットを不特定多数の人に向けて投稿している事実に反して、投稿している側の気持ちとしては、一握りの方が興味を抱いてくれるだけでも良いので、本当に「この人の写真好きだなぁ」と思ってもらえる方に届いたら嬉しいと思っています。
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 SS:1/125秒 ISO:400
性能に優れたレンズ、カメラ、携帯でハイクオリティな写真や動画が撮れる現在、誰もが高い撮影スキルを持てる時代になりつつあります。ウェブやSNSの恩恵だけでなく、人々の考えの変化も加わり、そこをスタートラインとして改めて何ができるのかが重要になってきているように感じます。 それは撮影者の思考の重要度が増してきていることだと思っています。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 SS:1/250秒 ISO:200
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 SS:1/250秒 ISO:200
世界は変革のとき、今日もまた写真と在りし日の1日。
本企画最後の撮影に選んだのは、ハウススタジオでした。
4F建ての1棟が丸々貸切のスタジオです。
このスタジオを選択した理由は、TAMRONレンズを使用して「寒暖色」、「白」、「黒」に言及した写真表現により、各色への色彩アプローチを体感したかったこと。どのフロアにも満遍なく豊富に入る自然光と、各フロアの色彩演出が分かり易く異なっていたので迷いなく決めました。
そして、今回も私が選んだレンズはこの3つ、TAMRON SP 35mm F/1.8 Di VC USD (Model F012)、TAMRON SP 45mm F/1.8 Di VC USD (Model F013)、TAMRON SP 85mm F/1.8 Di VC USD (Model F016)。
それぞれの場面でのレンズの描写力はとても明瞭でした。光と色の繊細なグラデーションは、露出差がある場面でも光が回っている場面でも、怯むことないチャレンジ可能なレンポンスを残してくれており、とても心強い存在でした。
写真家プロフィール

鈴木 悠介 Yusuke Suzuki
ポートレートを中心とした独自の世界観を持つ写真家「MONOCOLORS」を展開、四季の移り変わり、今を過ごす営みの尊さ、そのどちらにも冷静に存在する美しさに魅せられ創作活動を続けている。作家性を活かした広告撮影やカメラ誌・書籍での執筆も行なっている。
【運営サイト】
- ホームページ:http://monocolors.net/
- Instagram:https://www.instagram.com/monocolors/
記事で紹介された製品はこちら
SP 35mm F/1.8 Di VC USD(Model F012)
焦点距離35mmのスタンダードな広角レンズに手ブレ補正機構「VC」を搭載。0.2mという最短撮影距離を達成。他にない極めて実用性の高いレンズが誕生。 開放F/1.8から高い性能を達成。
SP 45mm F/1.8 Di VC USD (Model F013)
45mmという焦点距離、そして極めてシャープな描写を持つ個性的な標準レンズが誕生。フルサイズ対応の大口径標準単焦点レンズとしては初の手ブレ補正機構を搭載。開放F/1.8からクリアで切れの良い描写を実現。
TAMRON SP 85mm F/1.8 Di VC USD (Model F016)
高い解像力と自然なボケ味のハーモニー。手ブレ補正機構「VC」を搭載。人を撮るために誕生した、新次元の中望遠単焦点レンズ。