
【.Frame】vol.6 鈴木 悠介×TAMRONポートレート「Momentum」
今回の撮影は、雨を選びました。
その日の雨は何かに備えるように忙しなく降っていました。
物語を紡ぐように、撮影をはじめました。
雨にまぎれながら移り変わっていく季節の光、その矛先は色。
湿度を増す光が魅せる夏と秋を跨ぐ世界に、色彩の森を進みます。
今回、私が選んだレンズはこの3つ、TAMRON SP 35mm F/1.8 Di VC USD (Model F012)、TAMRON SP 45mm F/1.8 Di VC USD (Model F013)、TAMRON SP 85mm F/1.8 Di VC USD (Model F016)。
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 SS:1/500秒 ISO:200
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 SS:1/640秒 ISO:200
夏と秋を跨ぐ時間。
1年に1度だけ訪れるこの特別な時間に、雨はそっと添えられています。
通り過ぎる様は、とても静かで、そしてとても速く、真ん中に立っている彼女は雨に魅せられ揺られながら秋に成ろうとしていました。
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/100秒 ISO:200
夏の残りは月季紅に染まり、未だ静かに燃えるようで止まる気配を知りません。
彼女はその熱から離れるように自らを覆うと、今度は世界から離れるように目を閉じます。
焦点距離:35mm 絞り:F/1.8 SS:1/160秒 ISO:500
暫くしてゆっくり目を開けると、目前に現れたのは小さな雨でした。
雨は未だ熱を帯びた彼女に手招きするように、その口を開けて、静かに秋へと誘います。
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/50秒 ISO:200
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 SS:1/20秒 ISO:1600
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/400秒 ISO:200
その一瞬の刹那を越えると、まどろみ霞み、冷静と情熱が代わる代わる押し寄せる渦の中。
染められた色は滲み膨らみ、稜線を伝うように流れていきます。
彼女は振り落とされます。そこは七色の世界が影を潜める場所。
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/100秒 ISO:200
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/250秒 ISO:200
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/160秒 ISO:640
潜んでいた七色がその色を持ち、意識朦朧とした彼女を左右に身を振るようにして起き上がらせると、
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/250秒 ISO:200
そこに見たのは秋でした。
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/800秒 ISO:200
焦点距離:85mm 絞り:F/1.8 SS:1/800秒 ISO:200
湿度、匂い、光、影、雨。
焦点距離:45mm 絞り:F/1.8 SS:1/400秒 ISO:200
彼女そのものが、今はもう秋。
今回の撮影で、夏から秋へと移り変わる短くも確かに存在する時間を通して、物語の主人公が夏から秋へと導かれ、進み、辿り着く様を表現したいと思いました。
梅雨前線が通り過ぎると夏が来るように、秋雨前線もまた秋へと繋がっていく時。雨をまとった空気感、温度感を情緒的に、そして深みを持たせる描写を必要とし、タムロンレンズがその描写力を持って、物語を進めてくれました。
使用したレンズは、「TAMRON SP 35mm F/1.8 Di VC USD (Model F012)」、「TAMRON SP 45mm F/1.8 Di VC USD (Model F013)」、「TAMRON SP 85mm F/1.8 Di VC USD (Model F016)」。
今回も撮影技法として前ボケを多く取れ入れました。レンズに接近する前ボケの描写性は、それぞれのレンズで滲み方の重さが異なり、作品として望ましい表現をしてくれました。
それぞれのレンズの写真で比較していただけると、違いを感じていただけるのではないかと思います。
次回は「.Frame」第3回の最終稿、お楽しみに。
写真家プロフィール

鈴木 悠介 Yusuke Suzuki
ポートレートを中心とした独自の世界観を持つ写真家「MONOCOLORS」を展開、四季の移り変わり、今を過ごす営みの尊さ、そのどちらにも冷静に存在する美しさに魅せられ創作活動を続けている。作家性を活かした広告撮影やカメラ誌・書籍での執筆も行なっている。
【運営サイト】
- ホームページ:http://monocolors.net/
- Instagram:https://www.instagram.com/monocolors/
記事で紹介された製品はこちら
SP 35mm F/1.8 Di VC USD(Model F012)
焦点距離35mmのスタンダードな広角レンズに手ブレ補正機構「VC」を搭載。0.2mという最短撮影距離を達成。他にない極めて実用性の高いレンズが誕生。 開放F/1.8から高い性能を達成。
SP 45mm F/1.8 Di VC USD (Model F013)
45mmという焦点距離、そして極めてシャープな描写を持つ個性的な標準レンズが誕生。フルサイズ対応の大口径標準単焦点レンズとしては初の手ブレ補正機構を搭載。開放F/1.8からクリアで切れの良い描写を実現。
TAMRON SP 85mm F/1.8 Di VC USD (Model F016)
高い解像力と自然なボケ味のハーモニー。手ブレ補正機構「VC」を搭載。人を撮るために誕生した、新次元の中望遠単焦点レンズ。