【.Frame】vol.2 黒田 明臣×TAMRONポートレート「Egoistic Fictions」with 28-75mm F/2.8(Model A036)

.Frame(ドットフレーム)という本連載(良いタイトルですよね)にお誘い頂いた際、担当者の方からはレンズのインプレッションというよりも写真をみせていくようなコンテンツにしたいという想いを聞いていまして、フォトグラファーにとっては地力が試されるような舞台になるなあとアレコレ思いを馳せていました。とはいえ、もちろんお供にはTAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)。タムロン初の、ソニーEマウント専用レンズ。

日頃ズームレンズを一切使用してない自分としては、どうしたものかなと思いながら、ぼんやりニワトリ脳1級の儚い半熟の記憶を漂っていると、そういえば過去にはズームレンズを保有していたこともあったなと。それは、趣味カメラマンですらない自分が、旅行や友人と遊びながらカメラを月に一度持ち出すかどうかという時期でした。

そうこう記憶を掘り起こしていると、あれから5年近く経って、自分は一体何が変わったのだろうか?と急に気になり始めました。

そうか、それじゃあカメラ、レンズ、そしてクリップオンストロボ(しかもそれはオンカメラじゃなきゃ)。これで街中を歩いてみよう、普段と違うことをしよう。

それが今回のコンセプト。

理由はいくつかありました。今の自分では絶対にやらないであろう組み合わせですが、案外こういうスタイルがポートレートを撮影する人たちには多いかもしれないということ。今回のモデルがお互いに普段どおりでいられるプライベートの友人であること。本連載だからこそできる構成であること。そして何よりも、自分がいつも写真に対して期待している「驚きたい」という欲求にもっとも忠実な取り組みではないかと感じたから。

何を写すか

モデルはカナイメグ。普段は一緒にラーメンを食べに行くか、映画を観るかという歳の離れた変わった友人。お互い鯱張ることなくいつもどおり狂った会話を繰り広げながら散策する自宅周辺。

焦点距離:33mm 絞り:F/4 SS:1/160秒 ISO:200

5年前を思い返しながら、いつもどおりの友人と、いつもどおり歩いて、写真に残す。いつもと違うのは、タムロンの優しい階調。

左:焦点距離:40mm 絞り:F/4 SS:1/160秒 ISO:200

右:焦点距離:75mm 絞り:F/2.8 SS:1/250秒 ISO:200

焦点距離:75mm 絞り:F/2.8 SS:1/400秒 ISO:400

実は、晴天大好き系男子としては、いまいち心踊らない曇天でした。

焦点距離:75mm 絞り:F/2.8 SS:1/400秒 ISO:400

どうやら世の中的には、曇天を好むポートレートフォトグラファーの方が多いようですが、自分は光と影のクッキリとした写真が好き。5年前は、瞬間を捉えようとしていただけなのに、いつのまにか光を読んで描きたいと思っている。

そうか、初心を振り返ろうというこんな日は、曇天で良かったかもしれない。光に頭を悩まされることもなく、ただ歩いてただ撮る。曇天くらいが丁度よい。

そして曇天の中に、嬉しい誤算も。

不慣れなズームレンズで写すカットは、雲を通した僅かな光を繊細に拾って、立体感が奥ゆかしい。

焦点距離:70mm 絞り:F/4 SS:1/125秒 ISO:200

それともう一つ、モノクロで階調を楽しみたくなるレンズだったというのは一つの発見かもしれません。

焦点距離:39mm 絞り:F/5.6 SS:1/160秒 ISO:200

焦点距離:75mm 絞り:F/2.8 SS:1/160秒 ISO:200

焦点距離:75mm 絞り:F/5.6 SS:1/160秒 ISO:200

ただし、いつもと違うこともありました。

焦点距離:33mm 絞り:F/5.6 SS:1/160秒 ISO:200

焦点距離:75mm 絞り:F/2.8 SS:1/3200秒 ISO:800

普段ならシャッターを切ることのない写真が混ざっていたこと。

焦点距離:75mm 絞り:F/2.8 SS:1/3200秒 ISO:800

焦点距離:75mm 絞り:F/2.8 SS:1/400秒 ISO:400

私の視点が写っていたこと。

焦点距離:75mm 絞り:F/5.6 SS:1/160秒 ISO:200

ありのままの彼女が写っていたこと。

左:焦点距離:28mm 絞り:F/5.6 SS:1/160秒 ISO:200

右:焦点距離:28mm 絞り:F/5.6 SS:1/160秒 ISO:200

左:焦点距離:75mm 絞り:F/5.6 SS:1/160秒 ISO:200

右:焦点距離:65mm 絞り:F/2.8 SS:1/200秒 ISO:200

左:焦点距離:56mm 絞り:F/2.8 SS:1/125秒 ISO:100

右:焦点距離:75mm 絞り:F/2.8 SS:1/125秒 ISO:200

左:焦点距離:35mm 絞り:F/3.5 SS:1/125秒 ISO:200

右:焦点距離:35mm 絞り:F/3.5 SS:1/125秒 ISO:200

我々の時間が写っていたこと。

「自分が見たいものを選んでいたのだ」と、わかったこと。

かつてズームレンズとカメラ片手に友人と同じ時を過ごして写真を撮っていた頃、自分がシャッターを押していたのは、彼女たちのありのままが写った瞬間。

いまはそういう写真は全てボツにして、自分が見たかった一瞬、残したい瞬間を見せている。

たとえ写真が言葉通り真実を写していたとしても、ありのままの彼女を写していたとしても、フォトグラファーとしての自分は、「ただ見せたいものを見せるだけなんだなあ」と。当たり前を再確認。

便利に何でも、写したいものを写して、残したい瞬間を残せるからこそ、何をみせるかという点は撮ることと等しく大切なのかな、なんて思ったり。

焦点距離:49mm 絞り:F/4 SS:1/160秒 ISO:200

焦点距離:66mm 絞り:F/4 SS:1/160秒 ISO:200

焦点距離:75mm 絞り:F/2.8 SS:1/125秒 ISO:200

焦点距離:51mm 絞り:F/2.8 SS:1/125秒 ISO:200

いつのまにか、写真に対して自分なりのこだわりを持っていた。
そうか、気づかないうちに自分は写真家になっていたのかもしれない。
ふとそんなことを思った一日でした。

写真家プロフィール

黒田 明臣 Akiomi Kuroda

広告・雑誌・企業のビジネス写真を中心に活動する傍ら、セミナー・ワークショップ講師としても活動中。独学で学んだ撮影技法・RAW現像・ライティングに関するテクニックを、カメラ誌・書籍・ウェブメディアにも執筆中。2017年より商業写真家として活動開始。写真と前職のウェブエンジニアリング、両方のスキルを活かしてSNS時代に何か寄与できないかと模索している。

【運営サイト】

この写真家の記事一覧を見る

記事で紹介された製品はこちら

28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)

ミラーレスに新たな風を。これまでにない美しさとやわらかなボケ味。目指したのは高画質と小型軽量の両立。世界を鮮やかに写す、フルサイズミラーレス対応、F/2.8大口径標準ズームレンズ。